「船橋オート」廃止問題に光明か…元選手会長・梅内幹雄が存続訴え市議選出馬

デイリーニュースオンライン

船橋市議選に立候補したオートレース選手会の元会長・梅内幹雄氏(撮影=小川隆行)
船橋市議選に立候補したオートレース選手会の元会長・梅内幹雄氏(撮影=小川隆行)

 発祥の地・船橋の廃止問題に揺れるオートレース界に、二つの光明が見えてきた。

 一つは控除率の変更だ。オールスター(4月25~29日)やプレミアムC(6月17~21日)などのSG・G1戦7レースで、2連単が30%から20%に引き下げられた。7倍の配当が8倍になるなど、配当は13~14%ほど高まることとなる。

 昨年の当サイトインタビューでの施行者への願いが実現された「戦う選手会長」永井大介は、「ようやく、ファンの皆様に還元できるようになりました。今後も選手会としてはさらに喜んで頂けるよう取り組んでいきますので、今後もオートレースをよろしくお願いします」とコメントを寄せてくれた。

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現役オートレーサーが議会へ“出走”

 そしてもう一つは、全日本オートレース選手会の元会長・梅内幹雄氏(19期・49歳)の船橋市議選(4月26日投開票)への出馬宣言だ。

 昨年(2014年)選手会が行った「船橋オート存続の署名活動」には12万人からの署名が寄せられ、このうち6万人が船橋市民による署名だった。船橋市議選の当選ラインは2千票であり、6万人の署名は、「オート存続」を訴える候補を数名、議会に送り込める数字だった。

 署名活動と投票行動を同様には考えられないが、廃止を覆すには「今年度の売り上げを上げた上で、議会で覆す」しか策がなく、現役選手の出馬は、多くのオートファンが願っていたことだ。

「非常に厳しいと自覚していますが、一番大事なのは『土俵に上がること』です。オートレースに恩返しをするため、今やらねば絶対に後悔すると思ったんです」と梅内氏は熱く語り始めた。

オート存続、渋滞緩和、若者への喚起を訴え

 船橋オートの廃止問題は「廃止ありき」で事が進められた。これまで400億円以上の利益を県や市に拠出してきたにもかかわらず、「売り上げが下がった」となるや否や、大企業と政治家がつるんで廃止に持ち込もうとする構図さえ見え隠れする。

「選手会やファンの方々は、誰もが廃止のやり方に納得がいきませんでした。署名を千葉県知事や船橋市長に提出しましたが、何のアクションや答えもなし。オートレースは日本独自のスポーツで、船橋には発祥の地という文化的側面もあり、まだ再生の余地はあります」

 オートを存続させるためだけに市議を目指すのではない、と梅内氏は強調する。

「私は5歳から船橋市民として生活してきましたが、たとえば船橋市の道路には慢性的な渋滞が目立ちます。どうすれば渋滞を緩和できるか、真剣に考えたいです。政治については素人ですが、政治とは、知識よりも行動ですよね。どれだけ熱く動くかが重要だと思っています」

「交通渋滞の緩和」以外にも「スポーツ振興」「子育て支援」などの政策を掲げるという。

「高校野球やサッカーなど、船橋市は全国的にもスポーツが強い街ですが、環境や財政的に厳しい事情を抱えています。スポーツ団体に補助をしたり、オートレース場などをスポーツ振興拠点として有効に活用したりすれば、船橋市から東京五輪に選手を送り出せるかもしれません」

 多くの後輩選手を一流レーサーに育ててきた梅内氏らしく、「若者に政治に興味をもってもらいたい」とも口にした。

「市の活性化とは『船橋に住みたい』という若者を増やすことです。終身雇用がなくなるなど、今は若い人にとって不幸な時代だと思いますが、船橋市が魅力ある街になれば企業も進出するでしょうし、住みやすい街になると思います。ボクのようなオヤジが政治の世界に足を踏み入れようとしているのですから、若い人たちにも市政に関心をもってもらいたいです」

オールスター・オート戦を辞退して選挙に挑む

 梅内は今年、数年ぶりにSGオールスター・オート(ファン投票で選ばれた選手が出場する大レース)に選出されていたが、市議選の投開票日と重なったため、大レースの出場を辞退して選挙に臨むこととなった。

「選んでいただいたファンの方には非常に申し訳ありませんが、大レース出場よりもこちらを優先するべきだ、と考えました。出馬は2週間前に決めたばかりで、1コーナー最後方の大出遅れ状態です」

 仮に議員として当選した場合、レーサーという職業はどうするのか。

「両立していきますが、たとえば議会とレースが重なった場合は、議会を優先していきます。オートレースはボクの人生そのものですし、業界のために動ければと考えています」

 そんな梅内の人柄を、数名のオートレーサーに聞いてみたところ、「自分だけよければいい、という面がまるでない。ときにはみんなと一緒にバカもやるけど、誠実な人だから、選手会長にも推薦された」「前から政治に関心をもっていたので、船橋市のためになる行動をしてくれる」などの声が返ってきた。

 4月26日投開票の船橋市議選、立候補者は77名、定員は50名。「無所属新人」の梅内はどぶ板選挙に徹するそうだ。

(取材・文/小川隆行)

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