【中国】Apple Watch発売前にコピー商品が流通…ニセモノ蔓延のワケ

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中国で販売されているApple Watchのパクリ品
中国で販売されているApple Watchのパクリ品

 こんにちは。孫向文です。

 来日する中国人の爆買いが日本でもニュースになっていますが、なぜ、中国人はこんなにも日本の商品を買いあさっているのでしょうか? 

 もちろん、円安だとか、日本の製品が優秀だとか様々な理由はあるかと思いますが、その理由の最たるものは、自国の商品を全く信用していないことが挙げられるでしょう。

 今年の3月10日には、江蘇省徐州市の役所の号令により、市内の電機店、食料品店や薬品店などを取り締まった結果、コピー商品や偽ブランド品、安全面などで合格基準に満たない家電製品やパソコン、偽日常化学品、偽薬品や問題食品など、総計35.7万トンもの問題商品が摘発されるに至りました。

 その量もさることながら、処分日には、近所の市民たちがそれを奪い合い、職員が阻止しようとしても止めることができないという醜態をさらすことになりました。この一件は、いかに中国の商品が粗悪品ばかりであるか、そして、中国人の民度が低いかを表していると言えるでしょう。

 中国では、路上販売の商品は当然ながら、通常の商店ですらもパクリ品や偽ブランド品を堂々と売っているのが現状です。

 先日、アップル社がApple Watchを発売しましたが、それに先駆けること1カ月前には、そのパクリ品がすでに中国で販売されていました。本物は4万円以上しますが、この紛い物はその10分の1ぐらいの価格。当然、本物と同じような機能は付いていませんが、何となくその形は似ているという代物です。

 まあ、こういう商品は明らかに偽物だと分かるからいいんですが、問題なのは、本物とほとんど見分けのつかないパクリ品です。グッチだと思って買ったのに、それが偽物だったというケースは、中国で買い物をしていれば普通に起こり得ることです。中国で買い物をするということは、常にそういうリスクを抱えるということになります。

 これまでは、中国のユーザー層もこうしたコピー商品であっても普通に使っていたのですが、今は経済成長によって、そこそこ裕福になった国民もたくさんいます。年収にすると、100万円程度のいわゆる中産階級と呼ばれる人たちです。日本では低所得者層になりますが、中国では都市部の平均年収よりもちょっといいぐらいの層です。

中産階級の人々にとっては「中国製」は恥ずかしい

 そんな中産階級の人たちが今、ちょっと背伸びをして、国内ではスターバックスでバカ高いコーヒーを飲んだり(しかも、円安のずっと前からスタバのコーヒーは日本よりも高い!)、iPhoneなどのアップル商品を購入しています。

 こうして、自分たちが「本物」と触れ合うことに喜びを感じ、裕福になったと悦に浸ることができるのです。そんな彼らにしてみれば、中国製の商品を持つことは「恥ずかしい」という意識があります。

 今、日本を訪れている中国人の大半も、こうした中産階級の人たちであり、彼らは質の高い日本製品を買いあさることで満足感を得ているのです。自分たちは中国の紛い物ではなくて、「本物」の商品を買うことができたぞ、と。

 ちなみに、爆買いですが、このように自身の購買意欲を満たす人以外には、次のようなケースも考えられます。

 まず、自国でそれを転売することによって利益を得ようとする転売屋。今は中国にも、日本でいうと楽天のような個人商店が持てるサイト(淘宝など)があるので、簡単に商品を売りさばくことが可能です。

 また、もうひとつ考えられるケースとしては、その商品を自国に持ち帰ってパクリ製品を作ろうとする商売人です。今後、この日本での爆買いの影響を受けて、中国国内で、日本のパクリ商品が増加することは火を見ることよりも明らかでしょう。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/杉沢樹)

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