中国人も信用していない!? 日本が「AIIBに参加してはいけない」理由

デイリーニュースオンライン

AIIB公式HPより
AIIB公式HPより

 こんにちは。中国人漫画家の孫向文です。中国主導のアジアインフラ投資銀行(以下、AIIB)のニュースは当然、中国でも大きく報道され、中国国民はこの中国が打ち出した経済の新機軸に沸き立っています。

 そんなAIIBの創設メンバーになるための期限は3月末でしたが、結局、日本は、「不透明な部分がある」と懸念を示して参加を見合わせました。今後、自民党は6月に再度、AIIBへの見解を発表するとしていますが、僕は声を大にして言いたいです。日本は絶対に参加してはいけないと。

 その理由としては、何と言っても、中国人自身が「中国の銀行を信用していない」ことが挙げられます。数年前から、中国のATMから偽札が出てくる事件が多発しています。

 銀行側は「ATMから100%偽札が出てこない保証なんてない」と発表し、国民を激怒させました。自分の持っているお札は偽札かもしれないという不安を、常に中国国民は抱えているのです。

共産党が気分次第で財産を没収

 また、中国の貨幣価値が全く信用がおけないもう一つの理由として、共産党が気分次第で財産を没収することも挙げられます。昨今は習近平の虎退治により、汚職役人たちが続々と取り締まりを受け、財産を没収されているのはご存じの方も多いでしょう。この件に関しては、自業自得としか言いようがありませんが、今は、別に悪いことをしていなくても、その危険性は十分にあります。

 例えば、北京オリンピックの主会場である北京国家体育場(鳥の巣)を建設した建築家・艾未未氏は、2008年、四川大地震で多くの児童が建物の下敷きになったことに心を痛め、その一件を独自に調査しました。

 その結果、被災地の学校が、役人の汚職により手抜き工事が為されていたことが判明。すると、共産党の反発を買って軟禁された上、銀行口座も凍結されました。そして脱税の冤罪を被せられて1200万元もの罰金を強いられたのです。

 また、中央民族大学の教授イリハム氏が、漢族とウィグル族の和解を呼びかけた際には「国家分裂罪」の刑を受けた上、全財産を没収されました。

 このように、汗水たらして築き上げてきた財産が、いとも簡単にこの国では奪われてしまうのです。現在、多くの市民が、いつ何時、共産党にその金を奪われないように海外の口座に貯金したいと考えています。こういう国が世界を股にかけた銀行を主導するという危険性がお分かりいただけることでしょう。

 親中派の日本人の方々は「バスに乗り遅れるな」とAIIBへの参加を煽り立てていますが、仮に日本が参加すれば、あの世行きのバスになることは間違いありません。共産党のトップである習近平は、その気分次第で資金を運用しますし、そのリスクは計り知れません。

 日本は、すでにアメリカと協力してADBを主導しているのですから、べつにこんな不透明なAIIBを気にすることなんてないのです。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/杉沢樹)

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