「日本人は虐殺好き」中国人がクジラ漁を批判するワケ

デイリーニュースオンライン

クジラ漁が日本の戦争責任を追及する材料に
クジラ漁が日本の戦争責任を追及する材料に

 近年、日本のクジラやイルカ漁が世界的に話題になっていますが、中国の機関メディアもこの件についてはかなり報道しています。

 その論調は一様に批判的です。おおむね反捕鯨団体の非難の声明文を引用しつつ、「世界中に非難されている残忍な大和民族」と煽り立てています。日本の小学生たちが、漁業者がクジラを捌く現場を社会見学で訪れている様子も紹介しつつ、「大和民族が自国の幼い子どもに動物の虐殺行為を教え込む」と報道することもあります。それに対して中国のネット住民たちはこう騒ぎ立てます。

「日本人の人格は歪んでいて、虐殺好き。南京大虐殺という罪を犯したのも納得だ」

 日本の戦争責任を追及したい人たちにとっては、このクジラ漁というのは、実に好都合なニュースと言えるでしょう。

 もっとも、日本の友人から聞いたのですが、「中国人は机や椅子など以外だったら、四本足のものだったらなんでも食べる」というジョークがあるみたいですね。実際、確かに僕ら中国人は、普段は他の国の人たちが避けるようなものであっても、食べられるものであれば何でも食べる民族だとは思います。なのに、ことクジラやイルカとなると、中国国民の反応はそんな普段の自分らの姿を忘れたかのように過剰に反応します。

食した動物の供養は中国人には理解できない感情

 2012年、僕は千葉県の日本人友人とともに、銚子にある有名なクジラの寿司屋で初めてクジラを食しました。さすがに海の近くの銚子だけあって新鮮でおいしいクジラ肉で、僕も大満足でした。ですが、帰国して、微博(中国版ツイッター)上にて日本のクジラ寿司を自慢するツイートをすると、非難の嵐が殺到してきてフォロワーも一気に十人以上が減ったのです。

 また、築地市場を訪れた際には、魚を供養する神社があり、僕は興味深くそれを眺めました。中国人ももちろん魚を食べますが、殺された魚の魂を弔うという発想はありません。僕はこの一件も微博に投稿してみたのですが、たくさんのネット民が「偽善」だと非難しました。

「食べてしまって申し訳ない? どう考えても偽善だよね!」

 中国には「猫哭老鼠假慈悲」(猫が噛み殺した鼠に泣く) という、偽りの慈悲を示す諺があります。中国人がこの話を聞くと、まさにこの諺と同様の印象を受けるのです。日本人の中には、魚のみならず牛や豚など、そういった食べた動物に対する感謝や供養の気持ちを抱く方々もいらっしゃいますが、これは中国人にとって理解不能な感情です。

 もっとも、クジラ肉に関しては、なぜ、中国人がここまで忌避感を持つのか、中国人である僕ですらもよく分かりません。単に、それが日本人だからだという理由にすぎないような気もします。

 僕は犬と猫と虫以外はほとんど抵抗なく食べますし、他の中国人(特に南の広東省などの地域)ですと、犬も猫も食べる人もいます。人間がどの動物の肉を食べるのかというのは、生まれ育った地域によっても違いますし、生理的な嫌悪感などとも結びついているので、永遠に分かりあえないことでしょう。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/杉沢樹)

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