今井雅之が教えてくれた“がんの誤診率3割”の教訓

デイリーニュースオンライン

写真はオフィシャルブログより
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 5月28日に大腸がんでなくなった、俳優の今井雅之(享年54)。4月30日に記者会見でがんを告白、5月5日には降板した主演舞台の客席に挨拶をするなど、深刻な病状ながらも芝居にかける情熱は凄まじかった。多くの人は、今井雅之の強い意志、役者魂でがんを克服してくれるだろうと信じていたが、叶わぬ夢となってしまった。

 6月2日発売の「FLASH」(光文社)では、今井の壮絶な闘病生活が明かされた。主演予定の舞台で挨拶した際には、5、6歩しか歩けない状態で、楽屋では苦しみのあまり「あー!」とうなりながら壁に頭を打ち付けていたという。

今井の病気に、わき上がる疑問

 今井が体調不良を訴えたのは、昨年の夏頃。そのとき受診した病院では「腸の風邪」とされ、がんとは診断されていない。

 それでも体調不良が続いた今井は2か月間その病院に通っていたが、それでもがんとは診断をされず、がんが発見されたのは11月、神戸・西宮市の病院でのことだった。

 夏に通っていたのは「都内にある国立病院」と、今井自身が語っていたことから、「今井を誤診したヤブ医者はどこの誰だ?」と、ネットでは特定がされようとしている。

 しかし、本当に2か月もがんに気づかないということはあるのだろうか。医療関係者に話を聞いてみた。

「誤診率は3割前後といわれていて、10人に2、3人は間違った病気を診断されてしまうことになります。ただし、今井さんの場合は、してはいけない誤診です」

 では、発見が早かったら彼は助かったのだろうか?

「大腸がんは比較的進行が遅く、発見が2か月早まったからといって、それほど結果は変わらないでしょう。ただし、治療のオプションは増えるので、もしかして、とも考えられます」(同関係者談)

 発見が早かったら……と思うと、悔やまずにはいられない。では、こういった誤診を防ぐ手だてはないのか?

「医者と患者の信頼関係は大切ですが、医者を100%正しいと思わず、疑わしいと思ったら複数の医療機関を受診していただく『セカンドオピニオン』しかありません。ただし、紹介や、今受診している医療機関からデータを回してもらうのではなく、初診で受けてください。これは、医者同士のかばい合いを防ぐためです」(同前)

 医者といえど、間違いはする。自分の身は自分で守らなければならない。今井雅之が最期に教えてくれた教訓は、医者との上手なつきあい方を考えるきっかけになるだろう。

(取材・文/タナカアツシ)

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