入居者は生活保護…激安200万円物件に潜む不動産投資の罠 (3/3ページ)

デイリーニュースオンライン

 このB氏が購入した団地の1室は今でこそ300万円とリーズナブルな価格だが、バブル期には3000万円もの値段がついた物件だった。当時からここに住む住民には1部上場企業勤務、医師など高収入の人も多い。賃貸で入居する生活保護受給者とはやはり折り合いがよくないのかもしれない。入居早々、住民自治会でトラブルが発生した。

「自治会からは、『団地で皆が総出で行なう掃除に出てこない』『ゴミ出しのルールを守らない』『(住民自治会で禁止されている)勝手に猫を飼いだした』などの苦情が寄せられました。大家として謝罪し、入居者にも話しましたがどうにもわかってくれません」(B氏)

 B氏が近隣住民に謝罪した際、1部上場企業勤務の社員という住民自治会の役員からこう言われたという。

「所詮、生活保護受給者だからな……。バブル期とはいえ3000万円を支払える人間とは価値観は違うよ。今後、この団地の賃貸は生活保護受給者には貸さないという規約をつくらなければならないね」

大損! 驚くほど汚され150万円かけてリフォーム

 千葉県郊外の団地1室を賃貸に出すC氏(40代前半・自営業)も300万円の物件を家賃4万円で、就労目的でやって来た中国人に賃貸に出した。2年後、退去した際、備品として置いていた家具やガスコンロは持ち去られ、部屋の中は驚くほど汚されていた。退去時、修繕費を請求したがそのまま帰国され、連絡も取れない。

「退去後、リフォーム代金に150万かかりました。中華料理ばかり作っていたのか、キッチンはもちろん、部屋中、油汚れがひどかった。臭いもとれませんよ。300万円の物件なのに、これでは450万円もかかっている。もう手放そうかと思っています」(C氏)

 こうした築年数の古い郊外の団地を賃貸に出すリスクについて大阪府内の不動産業者はこう警鐘を鳴らす。

「職業や国籍に関係なく、安価な不動産の賃貸は“客層”は自ずと知れています。500万円までの物件で賃貸を行なう際、行儀悪い客層に大家さんがどこまで耐えられるかです」

 入居者の振る舞いはすべて“大家さん”である貸主にかかってくる。筋の悪い入居者にどこまで寄り添えるか。これがストレスになるようならば不動産ではなく利回りのいい金融商品での資産運用のほういいのかもしれない。「固定資産税」「リフォーム代」などもかからずに済むからだ。いずれにせよ“楽で着実な”資産運用など存在しないといったところか。

(取材・文/川村洋)

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