【東海道新幹線放火】露呈した鉄道テロの恐怖

デイリーニュースオンライン

ホームは騒然となった
ホームは騒然となった

 燃えさかる炎と吹き上がる黒煙。阿鼻叫喚の地獄絵図となった東京発・新大阪行き東海道新幹線「のぞみ225号」の焼身自殺。死者2人を出すなど、車内で起きたものとしては過去最悪の被害となった。この事件が浮き彫りにしたのは、防犯上の盲点だった。

「飛行機のような煩わしい荷物検査がない手軽さと、ダイヤの正確さ。この2点が、長距離移動が可能な公共交通機関としての新幹線の最大の特長だ。ただ、今回の事件では、その最大の『ウリ』が裏目に出てしまった」(国土交通省関係者)

 捜査関係者によれば、焼身自殺を図った林崎春生容疑者(71)は、ガソリンとおぼしき液体が入ったポリタンクをリュックに入れて車内に持ち込んだという。

 ガソリンなどの可燃性液体の持ち込みは鉄道営業法などに基づき禁止されている。しかし、危険物を隠し持っていた林崎容疑者が、乗車した東京駅で駅員や警備に当たる警察官に見とがめられることはなかった。

増加する鉄道テロの脅威

 2020年の東京五輪を控え、テロ対策の観点からも大きな課題が突き付けられた。

「今回の事件によって、新幹線がテロ攻撃に無防備であることが露呈してしまった。今後、テロリストの標的になるのは間違いない」(軍事専門家)

 事実、世界でも鉄道を狙ったテロが相次いでいる。

 2004年3月には、スペインの首都マドリードで191人が死亡し、2000人以上が負傷する列車爆破テロが発生した。2005年7月にロンドンで起きた同時多発テロでも地下鉄の車両内に爆弾が仕掛けられた。

 日本でも同じような惨劇が繰り返される可能性は低くない。

「イスラム教スンニ派過激組織『イスラム国』は世界のイスラム教徒に向けて蜂起を呼びかけている。先月にはフランス、チュニジアとクウェートで同時多発的にテロが発生したが、3つの事件はイスラム国の呼びかけに応じた共鳴者らによる『ホームグロウンテロ』の疑いが濃い。日本でもイスラム国に共鳴する者による同種のテロが起きる恐れがある」(公安関係者)

 安全神話は完全に崩れ去ってしまったようだ。

(取材・文/浅間三蔵)

「【東海道新幹線放火】露呈した鉄道テロの恐怖」のページです。デイリーニュースオンラインは、テロリズム犯罪鉄道イスラム国社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧