70代貧困老人の年金生活…食費月5000円で野宿する人も (1/2ページ)

デイリーニュースオンライン

70代に襲いかかる貧困(写真はイメージです)
70代に襲いかかる貧困(写真はイメージです)

 先月起きた東海道新幹線の放火事件は、低所得で年金生活をする高齢者にとっても衝撃を与えた。やはりカネへの不安は人を狂気に駆り立てる。年金生活をする高齢者も同じだ。

 では高齢者の生活にかかるコストとはいかばかりか。

70歳以降世帯で自営業なら月額約13万円がモデル世帯

 総務省の「家計調査」(2014年9月時点)によると、70歳以降世帯の平均支出額は月額20万0487円だ。この70歳以降世帯への年金支給額は、日本年金機構では会社員夫婦だと月額22万6000円、自営業夫婦ならば月額12万8000円をモデル世帯としている。

 70歳以降世帯夫婦への年金支給額では、会社員ならばギリギリの生活を強いられる。自営業ならばこの額だけでは厳しい。前出の「家計調査」(総務省)によれば、食料費支出だけでも2人以上の約7万1000円との算出結果が出ている。そうすると70歳以降世帯夫婦のうち自営業ならば手元に残るカネはいったいいくらなのか。

 例えば70歳以降世帯夫婦(自営業の例)で見ると、月額年金支給額12万8000円から食費7万1000円を引けば約5万7000円となる。この中から、住居費、光熱費・水道代などの支出を考えれば、もう手元に残るカネはほとんどない。都市部での生活は到底難しいだろう。

 では、実際、年金生活者はどのようにやりくりしているのか。その実態に迫ってみた。

月額2万円の年金は家賃にしかならない

 大阪市西成区に住む吉田勝市さん(仮名・73)は、先月の東海道新幹線放火事件の林崎春生容疑者(71)と同じく、若い頃、歓楽街で流しの歌手として活動していた時期もあるという。いわゆる会社勤めの経験はない。年金支給の区分でいえば「自営業者」にあたる。

 15歳から歓楽街を中心に仕事をしてきたが、不安定な収入でもあり貯蓄もままならず。好きな女性もいたが生活基盤がないことから同棲はしても結婚までには至らなかった。だがそんな不安定な生活のなかでも、漠然とした将来の不安から年金への納付は可能な限り行なってきた。

 しかしその年金支給額は月額2万円だ。西成区内に住むアパートの家賃(管理費込み)で1万8000円を支払うと2000円しか残らない。

「どうにか年金支給されるだけ、若い頃の一時期、年金を納付してたからまだマシや。これで年金なかったら6000円の日雇いをもう3日増やさなならん。この歳ではきついわな」(吉田さん)

食費は月5000円、酒もタバコもしなし…月収7万円生活

 毎月、吉田さんは食費を月5000円程度で押さえている。酒は若い頃の無茶で体を壊したため飲まない。タバコも吸わない。

 朝食は近隣のスーパーで買う120円の食パン6枚切りの1枚を半キレ。これを冷凍し12日間で食べる。昼・夕食はアルバイト先の工場で出る弁当で済ませられれば浮く。しかし休日は激安スーパーで買う70円のカップラーメンだ。せいぜい250円の惣菜と100円のお握りがご馳走だ。

 月に5000円で遣り繰りするとなるとこれ以上の贅沢は望めないという。

「もともとそんなに食うほうではなかったからな。でも、この歳でこんなもんしか食えない境遇は、自分にも責任があるとはいえ情けないところはあるな」(同)

 仕事は、今、清掃や解体業に日雇いとして出ている。年齢が年齢なので、せいぜい週に3日も働ければいい。日給は6000円ほど。朝6時半から18時半まで、約12時間の拘束時間だが、食事が出るので文句もいえない。第一にこの歳でも使ってくれるところがあるのが有り難い。

「70代貧困老人の年金生活…食費月5000円で野宿する人も」のページです。デイリーニュースオンラインは、貧困少子高齢化犯罪大阪社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧