【アドバイザー就任】不振Jリーグがすがる「ホリエモン」は救世主か疫病神か?

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【アドバイザー就任】不振Jリーグがすがる「ホリエモン」は救世主か疫病神か?

 開催中のサッカー東アジアカップ。日本代表は、初戦で格下の北朝鮮にまさかの敗戦。続く韓国戦でも勝利を逃して、連覇達成は成らなかった。いろいろと疑問の残るバヒド・ハリルホジッチ監督の采配など、敗因は多い。いわゆる“海外組”を欠く、Jリーガー中心の編成だったのも一因だろう。

 戦力的にもイマイチなJリーグ勢だが、経営面でもこのところパッとしない。カテゴリートップの<J1>の観客動員数は、長く年間平均で一試合1万8000〜1万9000人で推移してきた(注1)。それが2011年以降は、1万5000人〜1万7000人台と伸び悩んでいる。

 <J2>、<J3>が出来てチーム数が増加しただけに、いちがいに「Jリーグの動員が落ちている」とは言えないが、2015年から2ステージ制にもどしたのを見ても、Jリーグが試行錯誤している様子は透けて見える。そこで思わぬフェイントに出た、と言っては失礼だが、異色メンバーとアドバイザー契約を交わしたのだ。A.T.カーニー社日本法人会長パートナーの梅澤高明氏、IGPI代表取締役の冨山和彦氏、データビークル取締役の西内啓氏、慶應義塾大学政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野剛氏、そして堀江貴文氏……あのホリエモンである。

ホリエモンは毒となるか薬となるか

 さすがホリエモンと言うべきか。早速、堀江流改革案をぶち上げている。

「サッカー専用スタジアム所持を、J1昇格の条件にすべし」
「(露出アップに)ネットでガンガン映像を見られるように!」
「外資解禁。中国や東南アジアの富豪に、どんどんJチームを買わせるべき」

 確かにサッカーファン(注2)が聞いても、「なるほど」と思える提案も含まれている。その結果、

「今後、経済発展するアジアが世界サッカー界の中心になってくる。観光地としても人気のある日本のJリーグは、いまのヨーロッパにおけるプレミアリーグ(注3)のように、一番のリーグになれる期待は十分にあります」

 ホリエモンの提言に従っていれば、いずれJリーグが世界有数のトップリーグになれる気がしてくるから、不思議だ。

 しかし、ホリエモン周辺には<神通力>を疑われる出来事も。

「芸能人・有名人との交流を売りに、ホリエモンが秋元康氏やサイバーエージェントの藤田晋社長らと共に鳴り物入りで立ち上げたのがトークアプリ<755(ナナゴーゴー)>。CM攻勢でユーザー数を増やしてきましたが、ここへ来てサイバーエージェント自身が<このままだと成長が見込めない>と言明(注4)。方針転換を明らかにした」(IT企業役員)

「755」とはホリエモンが収監されていた時の囚人番号。こんな悪ふざけからも、ノリノリのアイデアだったことが伺える。

 こうして改めて考えてみると、ホリエモンは本やメルマガでは成功したが、肝心のベンチャー起業では失敗の連続。猛アピールしていた<宇宙ビジネス>も、今はどこへやら? 状態だ。アイデアとぶち上げる宣伝・プレゼン力は凄いものがあるが、実行力や持続力には疑問符がつく。

 ホリエモンを使うとしたら。かつてのカズや中田ヒデのようなスタメンではなく、ゴン中山のようなスーパーサブ(注5)か———と古い名前しか出てこないのも、現在のJリーグの問題点?

(注1)平均観客動員数…2万人弱なら、世界的に見ても立派な数字。
(注2)サッカーファン…この場合、筆者。
(注3)プレミアリーグ…英国のトップカテゴリー。マンチェスター・ユナイテッドなど人気チームが多く、世界中から投資が集まる。
(注4)方針転換… 2015年9月期第3四半期決算説明会での質疑応答にて。
(注5)ゴン中山… 決定力ある交代要員(スーパーサブ)だったのはアメリカW杯予選まで。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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