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季節を色に例えてみよう、桃色の春、黄色い夏。だいだい色の秋、青白い冬といった具合か。ところでこんな話を聞いたことがあるだろうか? 新たなる研究により冬と夏では色の見え方が違うことが判明したのだ。
・人間は黄色が最も安定して見える
人間は青、緑、黄、赤の4種類の色相を認識している。これらには他の色がまったく混ざっていないように見える色(例えば、黄緑ではなく黄色、青緑ではなく緑など)があり、これをユニーク色という。
中でも純粋な黄色、すなわちユニーク黄は特に科学者の興味を引く。多くの人にとってこの色が安定しているからだ。
このことは、目が人によって大きく異なっているにもかかわらず、ユニーク黄の見え方については誰もが一致していることを意味している。
英ヨーク大学心理学科のローレン・ウェルボーン博士らは、この色が安定して見える理由と、それを変化させる要因について調査を開始した。なお、対象となった色はユニーク黄とユニーク緑だ。
・季節ごとに黄色の見え方が変わる
その結果、視覚は環境の変化に合わせて季節ごとに異なることが判明した。例えば、夏には緑の草木が増えるため、視覚は緑色が増えているという要素を考慮しなくてはならない。一方で、冬になれば草木が枯れて色彩は乏しくなる。
視覚はこうした変化を差し引いており、その結果として黄色の見え方が変わるようだ。ある意味、テレビのカラーバランスが変化しているようなものだ。
夏のユニーク黄の見え方は短波長寄り、つまりより黄緑っぽく見えるようになる。これは夏に緑の光が増えたために、目の中にある中波長感受性錐体からL-M反対色処理経路への入力を減らすからだ(M錐体は、中波長光に最も敏感で、緑色の増加に強く影響を受ける)。