総裁選という「人間性クイズ」で勝ったのは誰だ!?|プチ鹿島の『余計な下世話!』

総裁選という「人間性クイズ」で勝ったのは誰だ!?|プチ鹿島の『余計な下世話!』

 無投票で安倍晋三氏の再選が決まった自民党総裁選。この結果に対し、以下のような声があった。

「総裁選は候補者同士の政策論争を通じ、さまざまな意見や世論があることを認識する貴重な機会だ。」
「首相への異論を許すまいと、ここまで対立候補を抑えこもうとした総裁選は記憶にない」(いずれも朝日新聞)

 ここまで真面目な視点がなくても、総裁選があれば「下世話さ」から人間が見えたと思うのだ。最近よく「政局より政策を」と言われる。人間関係のドロドロや、誰と誰が分裂したなどの「政局」報道は今のご時世、意識の高い方々からは小馬鹿にされがち。そんなものより政策論争だけが見たいという意見はたしかに正しい。

 でも政局を見るのも大切だと私は思う。なぜなら政治家の「人間性クイズ」を鑑賞できるチャンスだからだ。ふだんご立派なことを言っていても、ああ、この人は土壇場ではこんな振る舞いをするのかという発見は、政策を吟味するより信頼できるときがある。

●実は無投票でも見どころはあった今回の総裁選

 有権者に選ばれた政治家は緊急時や非日常の振る舞いこそが問われる。猪瀬直樹氏(前東京都知事)が政治家に向いてないと思ったのは5000万円の金銭スキャンダルなんかではなく、その釈明をする際に顔面蒼白でアワアワしていたことだ。あれでは東京に有事が起きときリーダーとしては頼れない。もっと図太さを見せてほしかった。

 総裁選という舞台は政治家の人となりを見るにじゅうぶんなチャンス。だから実現してほしかったが実は無投票でも見どころはあった。今回の見どころは安倍氏の相手として誰が手をあげるか? だった。もっと言えば「手をあげたところで勝ち目のない戦いに誰が手をあげるのか、その目的は?」。

 推薦人20人を集められず立候補はできなかったが、手をあげたのが野田聖子。いっぽう、立候補せずに安倍氏の再任が決まった翌日に「石破派立ち上げ」を表明したのが石破茂。たぶん永田町的に正しいのは石破茂だろう。絶大な力を持つ現総裁には手をあげずに恩を売り、再選翌日に派閥立ち上げを表明することで「次は手をあげます」と意思の表明をする。

 しかし、野田聖子があえて今回手をあげたことは結構な「貯金」になるはず。

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