[やまもといちろうのとっておき時事放談]

美人タレント女医からお笑い芸人まで加担した診療報酬詐取の話|やまもといちろうコラム

Photo by MIKI Yoshihito via flickr

 やまもといちろうです。東京は半袖で過ごすには肌寒い季節になってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 ところで、すでに騒ぎになっております例の診療報酬詐取話、早くも暴力団・住吉会系の組長が逮捕される事案に発展し、架空請求する人を仲介したお笑い芸人まで名指しされる状態になってしまって大変なことになっております。

 舞台となった接骨院についてはすでに報道がありますが、同様に片棒を担いだと噂され、タレント業も兼ねていた女性医師については、昨年11月にすでに診療報酬の詐取を疑わせる情報がネットで拡散されていました。

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不透明な保険制度も浮き彫りに

 これだけでもまあまあお腹いっぱいなんですが、報道の内容に違和感を感じる人は多かったでしょう。というのも、不正請求に関わった「数百人」が、この摘発された接骨院や女医タレントのクリニックに入り浸って診療報酬を詐取していたとすれば、それだけで数億円以上の年間保険収入が動くことになります。

 また、報道の中で出てくる「斡旋業者」なる存在も注目されます。なぜならば、もしも事業として組織的に診療報酬を詐取するための人員を派遣するような斡旋を行っていたとすると、今回摘発された拠点だけで飯を食っているはずもないからです。

 これはもう、都道府県の保健所のレベルではなく、厚生労働省医政局ほか保険行政全体の問題になると思うのですが、実際のところ、経営が立ち行かなくなっている医療クリニックや整体・接骨院が勧誘され、これらの大口の診療報酬の不正請求に加担する事例は少なくありません。

 そして、本来は柔道整復師など接骨院方面の保険適用には、それなりにハードルもあります。本来、来院して治療されてハイそうですかで保険が利くわけではないのです。

柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて

 柔道整復師の場合、請求の方法も患者に代行する形で保険請求する仕組みとなっているため、より分かりにくい状態になっています。言われてみれば、私の身の回りにも普通のボディマッサージの感覚で接骨院へいき、保険が効いてほとんどタダみたいな自己負担で活用している人もいたりして、もうこのあたりはちゃんと線引きをして、合理的にやっていくべきなんじゃないかと思うのですが。

 まさか暴力団がらみの診療報酬の不正請求でこの問題が明るみに出るとは思いませんでしたが、ただでさえ保険料が大変なことになって我が国の社会保険費が急増している状態ですので、少しでも悪弊は直して貰いたいと考える次第であります。

著者プロフィール

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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