夫・砂川啓介が語る”大山のぶ代”認知症介護3年「介護は”人間的な接触”の実践が必要」

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夫・砂川啓介が語る”大山のぶ代”認知症介護3年「介護は”人間的な接触”の実践が必要」

 砂川、大山夫妻と親交がある世田谷井上病院の井上毅一理事長は、認知症には2種類あると言う。

「大山さんのようにおとなしい患者さんとは別に、攻撃的な人もいる。私の知っている患者さんは私が挨拶をするたび、『自分は後期高齢者、挨拶のしかたが足りない』と絡んでくる。しょっちゅう路上で大喧嘩もしています。こうした患者は可能であれば、施設に預けたほうがいいのです」

 だが、砂川はどんなことがあっても大山を施設に入れたりはしないと、きっぱり宣言した。

「というのもね、もし施設に入ったら『ドラえもんが来た。サインしてほしい』と揉みくちゃにされてしまうでしょう。プライバシーを根掘り葉掘り聞かれるかもしれない。とすると、個室に入れるしかなくなるが、個室に1人でいると孤独になり、病状が進むおそれがある。いずれにせよ、カミさんには向いていません」

 世間では、介護する側が泣く泣く仕事を辞めてしまうケースも少なくないが、山梨大学医学部・田村康二名誉教授は、

「介護は最低、2人は必要です。1人ではとてもやりきれるものではない。しかも、介護のために仕事を辞めると収入も減るし、ますます苦しくなる」

 砂川にはそれがわかっていたようで、

「仕事をすることはリフレッシュになる。介護に専念するのではなく、共倒れしないためにも、それは必要。僕は最近、ゴルフを再開しました」

 介護は砂川のほか、家政婦、そしてマネージャーが手伝ってくれているという。

 そして砂川は、田村名誉教授の言う「人間的な接触」を、次のような形でも実践している。

〈僕は意識して彼女の容姿を褒めるようにしている。

「ペコって、きれいな肌してるよな」

「そうかしら」

「うん、ペコは年のわりにシワだってないし、白くてツヤツヤしてるよ」

「そうよね。あたし、シワないわよね」

 僕がこう褒めると、まんざらでもない様子で頬を撫でるカミさんが一瞬、“女の顔”になるのが分かる〉

 ほめることは認知症予防にも役立つ。

「優しくしてあげること。それと、よくタッチしてあげることは絶対に必要です。僕は認知症の事実を公表するまで、そこに気づきませんでした」(砂川)

 大山の最近の様子はどうなのか。

「今日も昼御飯を一緒に食べてきたんですが、ものわかりが非常によくなって、僕も助かっている。笑顔が多くなり、僕も一生懸命笑わせようとしているんですけど、ほんとに子供をあやすように、同じことを何回やっても笑うという、そんな状態ですね」(砂川)

 10年後には700万人を突破すると言われる認知症患者。砂川・大山夫妻の取り組みを知ることで得るものは大きい。

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