刺身やお寿司で人気の「タコ」。海外では「デビル・フィッシュ」と気味悪がられているタコはリアル「怪物」なのはご存じでしょうか?
タコが形を変えられるのはほぼ全身が筋肉でできているためで、その運動量を支えるために心臓を3つも持っています。8本の足を器用に動かせるのも足ごとに「脳」があるからで、本体と合わせて9つの脳が高い運動能力と学習能力を両立させています。それなのにツボに入って捕まえられてしまう、利口かおバカかわからないフシギな生物なのです。
■じつは「体育会系」なタコ
軟体動物であるタコはさかのぼれば貝の仲間なので、ご存じのように骨格を持ちません。これはウミウシやナメクジも同じですが、タコの特徴はなんといっても運動能力の高さで、海中ではほかの物に擬態(ぎたい)したり、釣り上げたあともはって逃げるのは有名な話です。これはタコのからだのおよそ90%が筋肉で成り立っているからで、軟体の名とは裏腹にきっすいのアスリート仕様。「ほぼ筋肉」な全身を自在に動かすために、タコには心臓が3つ、脳が9つもあるのです。
形を瞬時に変えるには多くの酸素を必要とし、それを支えるタコの心臓は、通常のものに加えて2つの「えら心臓」があり、
・えら … 海水から酸素をとりこむ
・心臓 … 酸素を多く含んだ血液を循環させる
が合体した器官によって、全身を効率よく活動させることができるのです。これはイカも同じで、普段なにげなく食べている食材ながらも、じつはかなりブキミな生物なのです。
■「左利き」のタコが存在する?
タコがモンスター級なのは心臓だけではありません。なんと9つもの「脳」があるのです。
骨がないのに形をなし動かすことができるタコの足は「筋静水系」と呼ばれる構造で、人間の舌やゾウの鼻と同様に筋肉だけで動かしています。