2012年の統計によれば、日本学生支援機構の奨学金滞納者は33万4,000人で、滞納額はなんと925億円にものぼる。1998年には滞納者は15万人だったことを考えると、実に倍に増えている。滞納を防ぐために、日本学生支援機構は奨学金取り立ての強化の一環として、滞納時には個人信用情報機関に登録することなどを同意書として取り付けるなどを義務化している。滞納3ヶ月で個人信用情報機関に個人情報が登録され、9ヶ月以上に及べば財産の差し押さえが可能になる。だが、本来は学生をサポートするためのものなので、このような厳しい取り立ては良くないとの声も根強い。日本には貸与型の奨学金しかないため、給付型の奨学金をとの声もある。
奨学金を返さないことは、デメリットも数多くある。例えば年利10%の延滞金が課されたり、将来的にローンやクレジットカードの利用が困難になるなど、社会的に不利になることが多いのだ。いわゆるブラックリストに掲載されてしまうので、奨学金の返済猶予は慎重になりたいもの。
返せなくなる原因としては、安定した仕事につけない人が増えていること、不景気と学費の高騰で、借入額が多くなっていることなどが挙げられる。他、統計上は、「家計の収入が減った」という理由が最も多いようだ。ただ、救済措置もある。減額返還制度は、返済期間を延長して一回の返済額を減らす制度。災害、傷病、その他経済的理由で年収300万円以下などにより奨学金の返済が困難な人は利用できる。また、所得連動返還型無利子奨学金制度といって、卒業後に年収300万円未満や一定の所得がなければ返済を猶予できる制度もある。
奨学金の返済に苦しむ人には、NPOや相談機関を利用するように呼びかけが行われている。全国各地で奨学金の問題には取り組んでいる。マイナンバー導入で、新たな救済措置が生まれるか。