【プロ野球】松井稼頭央・上原浩治・川崎宗則が持つ”驚異の数値”

三人には誇れる数値があった!(写真はイメージです)

 2015年にトリプル3を達成した山田哲人(ヤクルト)。史上初めて本塁打王と盗塁王のW獲得を決めたが、驚くべきは盗塁成功率。34盗塁を決めながら盗塁死はわずか4つしかなく、盗塁成功率は.895にも及んだ。これは32盗塁で8盗塁死の柳田悠岐(ソフトバンク)の成功率.800を大きく上回る。

 しかし、これは1シーズンでの数値であり、日本には驚くべき盗塁成功率を残している選手が存在する。

 それは、山田と同じくトリプル3の達成者である松井稼頭央(楽天)だ。プロ21年が経過した松井は日米合わせて461盗塁を決めているが、失敗はわずか97個しかなく、通算の成功率は.8261にも及ぶ。

 世界の盗塁王、福本豊(元阪急)は1065盗塁を決めたが失敗は299個で成功率は.781。日米通算700盗塁にあと3つと迫ったイチローでも697盗塁で147盗塁死、.8258。球界屈指の走り屋・鈴木尚広(巨人)でも218盗塁47盗塁死で成功率は.823。メジャー最多の通算1406盗塁を決めたリッキー・ヘンダーソンでも.808である。

 実は、歴代の日本人盗塁王の通算成績をみると、誰もこの数値にはたどりついていない。つまり松井は「日本人でもっとも盗塁成功率の高い選手」なのだ。

 プロ通算4年、58盗塁で11盗塁死の山田も通算成功率は.841と驚異の成績を残しているが、彼がベテランになってもこの成功率を維持しているか否か、注目したい。

■メジャー投手も及ばない上原浩治の制球力

 海の向こうで活躍する日本人選手にも「驚くべき記録」の持ち主が存在する。

 日本人投手屈指のクローザーとして名を馳せる上原浩治(レッドソックス)のK/BB(奪三振と与四球の割合)も驚異的だ。

 彼の日米通算奪三振は1835個、対して与四球は271しかない。K/BBにして6.77にも及ぶ。しかも、日本時代は6.67だったが、メジャーでは7.06と数値を挙げている。

 通常、K/BBは3.5を上回れば「超一流」とされるが、上原は倍近い数値である。

 日本史上最多の4490三振を奪った400勝投手の金田正一(元巨人など)で2.48、史上最多の無四球試合78をマークした鈴木啓示(元近鉄)で2.72、稀代のサウスポー・江夏豊(元広島など)で3.19、「針の穴をも通す」と言われた北別府学(元広島)で2.68、大魔神・佐々木主浩(元横浜など)で3.56と、日本人投手は誰も太刀打ちできない。

 歴代のメジャー名投手と比べても、通算354勝のロジャー・クレメンスで2.96、メジャー歴代最多の5714奪三振・2795与四球のノーラン・ライアンで2.04、メジャー史上ナンバー1の奪三振率10.61(9イニングの奪三振)を誇ったランディ・ジョンソンで3.26、シーズン300奪三振を3度も記録したカート・シリングで4.38と、歴代の名投手の誰もが上原の足元にも及ばないのである。

 川崎宗則(ブルージェイズ)の「三塁打率」も誇れる数値だ。

 三塁打率とは三塁打数÷打数により、打率と同じく三塁打の確率を出す、と思ってもらいたいが、日本プロ野球で史上最多の三塁打を放った福本豊(元阪急)の三塁打率が「115(通算三塁打)÷8745(通算打数)=.0131」なのに対し、日本時代の川崎は「65÷4573=.0142」。と福本を上回る数字を残していた。メジャーとの通算でも「71÷5185=.0136」と、いまだに福本を凌いでいる。

 ちなみに、メジャー歴代トップの三塁打を放ったサム・クロフォードは.032、同2位の295三塁打を放ったタイ・カップは.0.26と、ともに川崎を凌駕しているが、どちらも50年以上前の打者である。

 松井の盗塁成功率、上原のK/BB、川崎の三塁打率。以上は「タイトルとは無関係だが胸を張れる」立派な数字なのである。

小川隆行(おがわたかゆき)
編集者&ライター。『プロ野球 タブーの真相』(宝島社刊)シリーズなど、これまでプロ野球関連のムックを50冊以上手がけている。数多くのプロ野球選手、元選手と交流がある
ピックアップ PR 
ランキング
総合
スポーツ