”黒いカネ”で辞任した甘利明大臣の並外れた集金力

Photo by DS80s

 追い詰められていた安倍晋三政権の重要閣僚がついに決断を下した。週刊文春の報道によって金銭授受疑惑が浮上していた甘利明・衆院議員(66)が経済再生担当大臣の職を辞すると決めたのだ。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の責任者として存在感を発揮してきた甘利氏だが、1月28日の会見で、「閣僚のポストは重い。しかし、政治家として自分を律することはもっと重い」と自身の思いを吐露。「政治家としての矜持にかんがみ、本日ここに閣僚としての職を辞することを決意しました」と大臣のイスから下りる意思を明らかにした。

■内閣調査室を総動員して情報集め

 スキャンダルが直撃してから1週間あまり。「TPPの立役者」の〝降板〟に至るまでの舞台裏を永田町関係者がこう明かす。

「永田町には、『官邸は甘利氏をとことん守る』との見方が広がっていた。もちろん、総額1200万円に及ぶ接待を受けたとされる秘書の監督責任は免れない。ただ、官邸は一番の焦点だった自身の計100万円の現金授受については『説明できる』と踏んでいたようだ」

 告発者の素性について取り沙汰する報道が出たことも、官邸を強気にさせる一因だった。

「文春に実名告発した千葉県の建設会社関係者は、すでに解散した右翼団体と接点を持っていた。金銭授受の証拠集めのために入念に準備していた痕跡がある点を指摘するメディアもあった。官邸は一連の問題を『甘利氏ははめられた』というストーリーに当てはめようと、内閣調査室を総動員して情報集めに躍起だった」(先の関係者)

 永田町でそんな駆け引きが繰り広げられていたなか、幕切れはあっけなく訪れた。

 2月4日にニュージーランドで開催されるTPPの調印式までは続投する、との大方の見方を覆し、甘利氏がサプライズ辞任を仕掛けたのだ。会見ではどこか清々しい表情さえ見せていた甘利氏だったが、今回の問題が思わぬハレーションを引き起こす可能性も囁かれている。

「今回の騒動によって、改めて明らかになったのは『安倍首相の側近中の側近』である甘利氏の影響力の大きさでした。報道各社が、甘利氏の資金管理団体である『甘山会』や、代表を務める『自民党神奈川県第13選挙区支部』を改めて洗い出した結果、並外れた集金力が明らかになったのです」(全国紙社会部記者)

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