テリー 当時のツイストのブレイクには、世良さんの派手なパフォーマンスが大きく貢献してますよね。
世良 あれには理由がありましてね。ツイストは大学時代からやっていたバンドなんですが、卒業を迎えるにあたって、音楽コンテストに出ようという話になったんです。で、入賞しなければバンドは解散すると。
テリー へー。
世良 ところが、コンテストの決勝大会の予選とボーカルの就職面接の日程が重なって、「すまん、俺の人生がかかってるから決勝は出れないわ」って言うんですよ。
テリー あれ、世良さんはボーカルじゃなかったの?
世良 そうなんですよ。バンドを始めた時、僕はベースをやっていたんです。で、メンバーから「世良はコーラスもやってるし、残った中ではいちばん歌がうまいから」と言われて、ベースを弾きながらボーカルもやってたんです。
テリー へえ、それもカッコいいじゃないですか。
世良 でも、個人的に両立は難しくて「ベースかボーカルのどちらかを新しく入れてくれ」ってお願いしたら、キーボードをやってたヤツが同級生のベーシストを連れてきたんです。
テリー もし、新メンバーがボーカルだったら‥‥と考えると、何か運命を感じるね。おもしろいなぁ。
世良 だけど今までずっと楽器を持って歌っていた人間ですから、急にマイクだけになると何をしていいかわからないんですよ。それで、とにかくデタラメに動いてたら「ムチャクチャに暴れる、変なボーカルがいるぞ」ってことになって(笑)、コンテストで優勝して、そのまま「あんたのバラード」のシングルを出して、「夜のヒットスタジオ」に呼んでいただいて‥‥とやってるうちにボーカルとして定着した、という感じなんです。