テリー どんな経緯で、まむしさんは「笑点」の座布団運びになったんですか?
毒蝮 あれはね、たまたま談志と俺が友達だったんですよ。大学1年ぐらいの時に知り合ったの。ある役者がいて、俺が「落語が好きだ」って言ったら談志を紹介してくれて、当時は「柳家小ゑん」って名前だった。同い年だし、ウマが合ったんだな。
テリー あ、談志さんと同い年なんですか?
毒蝮 そう。寄席に通ってるうちに、談志が楽屋へ入れてくれるようになったのよ。当時、新宿の末広亭なんかは桂文楽師匠、古今亭志ん生師匠、三遊亭圓生師匠、柳家小さん師匠と、大師匠がわんさといてさ。もう、その入りにくさといったら。
テリー そりゃあそうですよ。ヘタなとこに座っただけで怒られるし。
毒蝮 「そこは師匠が座るとこだ!」なんてね。でも、俺が寄席のしきたりなんか知るわけないじゃない。だから、「いやあ、どうも」って、いきなり(三笑亭)夢楽師匠の座布団に座っちゃったわけ(笑)。
テリー ありゃりゃ、そりゃダメだ!
毒蝮 でも不思議と師匠連中は嫌な顔ひとつしないで「ああ、どうぞ、どうぞ。お稼ぎですね。テレビで観ましたよ」なんて言ってくれたりするんだよ。本当かどうかはわからないんだけどさ(笑)。
テリー 普通ありえないですよ、そんなの。
毒蝮 で、談志はそれを見ていて、「師匠たちがああだったら、お前がこの世界へ入ったって絶対みんな嫌わないよ」って。そのあとも談志から、「師匠連中が『今度、石井君はいつ来るんですか』って言ってるから、お前来いよ」って。
テリー へぇ~、そうやって落語界との接点ができて、のちの「笑点」へつながっていくんですね。