北朝鮮「マネロン関与」疑惑の欧州投資会社が解散

| デイリーNKジャパン
北朝鮮「マネロン関与」疑惑の欧州投資会社が解散

北朝鮮のマネー・ロンダリングに関与した疑いを持たれてきたヨーロッパ系の投資会社が、解散することになった。

「パナマ文書」で発覚

解散を決めた投資会社の名は、「フェニックス・コマーシャル・ベンチャーズ」(以下、フェニックス)。同社は北朝鮮から撤退し、解散することを役員会で決定したと、ホームページで明らかにした。

同社は2003年、北朝鮮の文化省との合弁で設立された。ホームページでは「経済改革が進みつつある北朝鮮において、投資家にビジネスチャンスを提供する」とし、北朝鮮政府との直接のコネがあるとうたっているが、事業内容の詳細は明らかになっていない。

数少ない「実績」の一つがハナ電子の設立だ。DVDプレイヤーやカラオケ機器の製造、販売を行う企業で、2011年当時の従業員数は230人だったが、投資額や売上などはわかっていない。

ところが、昨年9月に突然「相手との妥協できない意見の差」により、合弁を解消することにしたと宣言した。

英国の「ガーディアン」の報道によると、フェニックス社のCEOを務める英国人のナイジェル・コーウィ氏は、1995年に北朝鮮初の外国系銀行、大同信用銀行(DCB)の総支配人とCEOに就任した。

同氏はその後の2006年に、英領バージン諸島に北朝鮮のフロント企業、DCBファイナンスを設立したことが、「パナマ文書」によって明らかになっている。北朝鮮が初の地下核実験を行ったのは、同年10月のことだ。そのことから、コーウィ氏がタックスヘイブン(租税回避地)を利用し、北朝鮮の核開発や武器取引に関与していた疑惑さえ浮上している。

バレ始めた手口

解散に至った経緯には不明な点もあるが、核開発やミサイル発射に対する国連制裁が影響したであろうことは想像に難くない。北朝鮮に対する監視は厳しさを増しており、制裁逃れの手口もバレてきている。また、外貨稼ぎの柱のひとつだった海外でのレストラン経営が、女性従業員の集団脱北で難しくなっている状況もある。

金正恩体制の懐具合はいよいよ、厳しいものになっていくかもしれない。

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