アパート・マンションでの騒音は、住民にとっては非常に大きなストレスだ。「犯人」に対して、怒りが募るのも止むを得まい。だが、そのぶつけ先を間違えると、問題は余計にややこしく――。
広島県のTさん(20代女性・公務員)の元に、騒音被害を訴える隣人がやってきた。だが、どう考えてもTさんには心当たりはない。そうこうしているうちに、隣人の行動はエスカレートしていく。
以前住んでたマンションでの話です。防犯を重視して、女性限定の物件を借りたのですが、そこで思わぬ怖い思いをする羽目になっちゃって......。
ある夜のことです。仕事で疲れた私は、少し早めに眠りについていたのですが、そこにピンポン、ピンポンと早いリズムでインターホンが鳴らされました。なんだろう――とりあえずカーディガンを羽織って玄関に出ると、そこには厳しい表情の女性が。右隣の部屋の方です。
彼女は私よりちょっと年上、長い髪をポニーテールにした、少し地味目な感じの人でした。廊下ですれ違っても会釈をするくらいしかお付き合いがなく、話すのもこれが初めて。それでも、その青白い顔からは、彼女が相当「怒って」いることがわかりました。
「前から気になっていたんですがっ。騒音がひどいんです! もう少し静かにしていただけますかっ!」身に覚えは全くないのに...いきなりのことです。それに、さっきまで寝てたものだから、頭が上手く働きません。とっさに、「は、はあ......すいません」。彼女はもう一度、私をキツくにらむと、さっさと回れ右して、自分の部屋に帰っちゃいました。
そのときは何が何だかわからなかったんですけど、布団に戻ってしばらく考えてみると、ようやく事情がつかめてきました。実は最近引っ越してきた左隣の部屋の方が、結構遅くまで音楽を鳴らしたりと、物音に無頓着なのです。どうもその騒音が、私の部屋越しに、右隣の彼女の部屋にまで届いていて、それを彼女は私が発生源だと勘違いしているらしいのです。