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”感情”が動いた国民投票…イギリスのEU離脱で日本はどう変わる?|プチ鹿島コラム

Photo by Hernan Piñera

 今回のイギリスのEU離脱。おカタい記事ではなく、やわらかい記事からもその衝撃がわかる。

 まず大手ブックメーカー(公認賭け屋)のオッズ。日本時間の23日午後の時点では、ウィリアム・ヒル社は「離脱5・5倍」「残留1・1倍」だった。結果を残留と予想する人が多かったのだ(朝日新聞)。しかし開票がすすむ24日になると、『英国民投票、ブックメーカーが「離脱」予想に転向』というニュースが飛び込んできた(6月24日 AFP)。ブックメーカー各社は相次いで「残留」優勢から「離脱」優勢に変更したのである。

 こんな記事もあった。ドイツの新聞「ビルト」は23日の紙面で、「英国にEU残留を促すために11の譲歩案を提示」をしていた。

・チャールズ皇太子の耳を物笑いの種にしない

・ジェームズ・ボンドが活躍する英スパイ映画「007」シリーズの悪役を無制限で提供することなども約束

・1966年のサッカーワールドカップ(W杯)決勝での、イングランドの疑惑のゴールを認める

 などなど。ドイツの新聞のウイットを感じるが、今となっては「まさかホントに離脱するわけないだろ」的なムードもあったかもしれない!?

 さて、私は開票当日に「ニュースザップ」(BSスカパー)という番組に出演していた。海外ニュースを扱う番組である。BBC(英)、CNN(米)を見ながら開票の行方をみていた。

「離脱派、勝利確実」となったとき、BBCの開票特番のムードとはどんなものだったか? BBCのスタジオにいるコメンテーターたちは討論していたが、「ニュースザップ」共演者のモーリー・ロバートソンさんによれば「あのスタジオにいる人たちは言葉が上品。上流階級の英語ですよ。」と解説してくれた。

 つまり、今回の離脱派の多くといわれる「現状に不満を持つ層」はスタジオには1人もいなく、富裕層の人たちがお上品な言葉で「これからどうしますかねぇ」と皆で穏やかに語りあっていたのだ。今回の投票結果の見事な皮肉ではないか。

「感情」が一気に動いたイギリスの国民投票。日本に対する影響としては経済ばかりあげられるが、私は国民投票のイメージについても大きな影響を与えたと思う。投票する側だけではない。雪崩をうって動いた国民の感情をまざまざとみて「日本で国民投票をやりたい人、やりたくない人」、一体どちら側が興奮したり、怖さを感じたのだろう。

 経済も気になるが、そっちに与える影響がすごく気になるのである。

著者プロフィール

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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