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東京都議会にドン内田茂よりコワモテな”ヤジ大王”の存在|プチ鹿島コラム

東京都議会にドン内田茂よりコワモテな”ヤジ大王”の存在|プチ鹿島コラム

『東京都議会のドン 内田茂の正体』(週刊ポスト8月12日号)

『都議会ドン内田茂「疑惑の核心」』(週刊文春8月25日号)

 この1ヵ月で大ブレイク中の内田茂都議。ドンの大ネタに注目が集まっているが、都議会のうさんくささをふりかえるには同じく忘れてはいけない事件がある。今から2年前の「都議会ヤジ事件」だ。

 女性都議に「早く結婚しろ」「産めないのか」とヤジが飛んだあの事件。いや、事件というか、どうやらあの風景が「日常」らしいことに多くの人が驚いた。都議会という「ローカルで威張るおじさん臭」に。

 ヤジを飛ばしたとして鈴木章浩氏が名乗り出たが、しかし鈴木都議は会見で「早く結婚しろ」は自分が言ったが「産めないのか」などのヤジは自分ではないと述べた。つまり、他の「犯人」はウヤムヤのまま終わったのだ。あのとき各紙を読み比べてみると興味深いことがわかった。

 まず「東京スポーツ」の2014年6月22日の記事。東スポは“ヤジ大王”川井都議にインタビューしている。

《一方、ネット上ではヤジを飛ばしたと断定され、拡散された都議も。自民党の川井しげお都議(66)で、五輪招致議連の会長も務める重鎮だが、屈指の“ヤジ大王”としても知られる。だが、本紙の取材に川井氏は「大変迷惑している。私の席は一番後ろで、ヤジが飛んだとされる手前側と全然違う。電話が鳴りっぱなしで『死ね』とか『自殺しろ』とかまで言われている」と頭を抱えた。》

 その3日後の6月25日の「日刊ゲンダイ」は、「なぜ自民は隠す? もう一人のヤジ容疑議員を本紙が直撃! 」 として「中堅都議K氏」にインタビューしている。ここでK都議は 「普段から俺はかなりヤジる方だからね」 「俺にも年頃の娘がおり、まだ結婚をしていない。娘を持つ親として言えるわけがないだろう」 とコメントしている。ポイントは「普段から俺はかなりヤジる」の部分。 イニシャルは「K」。

 そして今度は6月25日発売の「週刊新潮」。『「スケープゴート」血祭りで余罪をすっとぼけた野次四天王』という記事。

《自民党都議団には、野次四天王と呼ばれる面々がいる。それは川井重男(66)、来代勝彦(69)、山﨑一輝(41)、高木啓(49)の4人の都議だという。》

 野次四天王という「ものまね四天王」みたいな人たちが自民党にはいることがわかった。 この記事でイニシャル「K」を探すと、川井重男、来代勝彦が該当する。先ほどの日刊ゲンダイの「K」は両者のうちのどちらかだろう。

 東スポでは「屈指の“ヤジ大王”としても知られる」と書かれていた川井重男氏。このように「産めないのか」ヤジの犯人さがし報道でずいぶん名前が出ていた。「ローカルで威張るおじさん臭」は2年前からマスコミで漂っていたわけだ。

 今回、なぜこんなことをふりかえったかといえば、次の話題があったから。

『自民SNSが炎上!小池知事への都議会自民の非礼対応に「失礼」「不愉快」「小学生以下」』(デイリースポーツ・8月3日)

《2日の小池知事の挨拶回りでは、川井議長が、取材陣の知事との写真撮影の提案を拒否。他会派は幹事長が出迎えたが、都議会自民党は「たまたまいた」と言う総務会長ら2人だけが迎え、5分を予定していた挨拶は30秒で終わった。》

 おお、「川井議長=川井重男氏」ではないか。期待を裏切らない「ローカルで威張るおじさん臭」を今も発揮している。都議会のドンにも注目だけど、こういう小物からもますます目が離せないのである。

著者プロフィール

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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