仕事をしているなかで、「自分なりの意見」や「自分らしさ」「自分にしかできないこと」にこだわっていませんか?
実はそれは、自分を苦しめる原因かもしれません。
今回ご紹介する『自分を捨てる仕事術』(石井朋彦著、WAVE出版)の著者は、現在アニメーションのプロデューサーとして第一線で活躍する人物。
21歳のときスタジオジブリに入社し、鈴木敏夫氏のもとでプロデューサー補をつとめていました。鈴木氏といえば、スタジオジブリでいくつもの映画をヒットさせた名プロデューサーです。
鈴木氏は著者に対し、繰り返し「自分を捨てろ」と言ったそう。
自分を捨ててひたすら他人の真似をすることで、人生における学びがあり、仕事を楽しむこともできるといいます。そして、どうしても真似できないと思うところが、その人の個性になるのです。
きょうは本書の中から、著者が鈴木氏から教わった実践的な仕事メソッドをピックアップしました。
■1:人に伝える文章はテーマを明確にする
文章を書くときは、「何が言いたいのか」というテーマを明確にする必要があるといいます。これは当たり前のように感じるかもしれませんが、鈴木氏の手法は具体的です。
まず今自分が考えていることや言いたいことを紙に書き出します。その後で並べた要素を客観的に見直し、その要素のなかでひとまとまりにできるものをまとめていきます。
一番要素が多かったものが自分の一番言いたいことでありテーマということ。そのため、テーマ以外のものは思い切って外してしまいます。
そして、文章は「当たり前のまとめ」をしないこと。たとえば『天空の城ラピュタ』を「夢と冒険の物語」と書いたら、どんな映画にも当てはまるものになってしまいます。
ところが、「バスーとシータは、天空に浮かぶ城・ラピュタへ向かった」としたら、読む人が想像を膨らませることができるでしょう。そして、結果として『夢と冒険の物語』であるということは伝えられるのです。
人に伝える文章にするためには、とにかく具体的に、そして固有の表現や言葉を積み重ねることが大切です。