金正恩氏を「罵る動画」を北朝鮮メディアがうっかり宣伝

| デイリーNKジャパン
金正恩氏を「罵る動画」を北朝鮮メディアがうっかり宣伝

北朝鮮の朝鮮中央通信は23日、「民心を代弁するメディアの力は大きい」と題する論評を配信した。朴槿恵大統領の知人女性による国政介入疑惑を追及する複数の韓国メディアの活動を、次のように評価する内容である。

「異常者でブタ」

「進歩と保守を超越して特大型不正スキャンダルの真相を究明しているメディア活動こそ、正義と真理の代弁者、時代の先覚者としての責任と役割を全うしようとする正当かつ義に徹する行動だ」

何とも立派な言説である。国民に、自由な発言がまったく許されていない国から出た主張とはまったく思えない。

北朝鮮には言論の自由が皆無に等しく、報道は国営・官営の御用メディアによる体制宣伝が大部分を占めている。しかし、国外に向かっては「完璧な民主主義国家」を自称しているから、時折こんな「上から目線」の論調が飛び出すのだ。

とくに金正恩党委員長が最高指導者となってからは、このように外国の報道に言及したり、インターネット上の世論をすくいとったりして体制宣伝を行うことが増えたようだ。

これが、正恩氏本人の「カラー」であることは間違いない。正恩氏は、こうしたメディア戦略を自ら指揮しているのだ。そうでなければ、公式メディアが正恩氏のヘンな写真をバンバン公開できるわけがない。

しかし自由な言論と親しんだことのない北朝鮮のメディア担当者たちは、どうやら海外の報道から拾った情報を検証したり、裏を取ったりといった作業に不慣れなようだ。だから、時にはとんでもないミスが飛び出す。

朝鮮中央通信は前述した論評を出したのと同じ日に、「憤怒をかき立てる朴槿恵逆徒の7時間の行方の真相」と題した記事を配信した。

韓国の朴槿恵大統領は、大型客船・セウォル号の沈没事故が起きた当日、何をしていたか説明されていない「空白の7時間」がある。そして、「その時間、実は美容整形の施術を受けていたのではないか」との疑惑が持たれているのだが、最近、事故発生後と前日の朴氏の顔写真を比較して、「明らかに目の周りのしわが消えている」と指摘する動画がインターネット上にアップされた。

朝鮮中央通信の記事は、この動画が韓国のネットユーザーの間で話題になっていると紹介する内容だ。

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