有馬記念は、師走特有の狂騒的な雰囲気がそうさせるのか、すべてのレースが語り草となる。中でも99年の第44回有馬記念は、前年の覇者グラスワンダーVS天皇賞・秋、ジャパンCと連勝中のスペシャルウィークによる最後の対戦として注目された。
エルコンドルパサーが、日本調教馬として凱旋門賞で初めて2着となった年で、実はこの3頭は同じ世代ながら、当時は外国産馬に出走の制限があり、一度も同時に顔を揃えたことはない「幻の3強」であった。個別での対戦はあり、エルコンドルパサーVSスペシャルウィーク(98年ジャパンC)とエルコンドルパサーVSグラスワンダー(98年毎日王冠)ではエルコンドルパサー、グラスワンダーVSスペシャルウィーク(99年宝塚記念)ではグラスワンダーに、ここまでは軍配が上がっていた。
この有馬記念で引退・種牡馬入りが決まっていたスペシャルウィークにとっては、宝塚記念でひねられたグラスワンダーに対して最後の雪辱のチャンスだった。
この日、パドックに姿を現したグラスワンダーは、前走の毎日王冠と比較して12キロ増。デビュー以来最高馬体重で、明らかに「太い」という印象。ところが、的場均騎手がまたがると、それまでたるんでいた馬体がキュッと締まり、アスリート体型へと瞬時に切り替わったのを鮮明に覚えている。
ゲートが開き、1コーナーに向かう中、場内はどよめく。グラスワンダーは後方から3、4番手。スペシャルウィークは最後方に位置取っていたのだ。どちらの鞍上もせかす様子もない。グラスワンダーはしっかりと抑え、スペシャルウィークが、それをマークする形。スペシャルウィークをグラスワンダーが徹底マークした宝塚記念と全く逆の形だ。
先に動いたのがグラスワンダーで、2周目の3コーナー過ぎから進出を開始、一気に前の集団の外に並ぶと、スペシャルウィークもぴったりとマークを離さず、前へと押し上げていく。直線に向き、内からツルマルツヨシが抜け出し、その外からグラスワンダーが接近。さらに間からテイエムオペラオー、大外からスペシャルウィークが素晴らしい伸びを見せて、前2頭へと迫る。
ゴールでは4頭が横一線となる中、わずかに抜け出していたのがグラスワンダーとスペシャルウィーク。勢いでは外のスペシャルウィークであった。鞍上の武豊騎手は勝利を確信しながらにこやかに引き揚げてきた。しかし、長い長い写真判定の結果、勝ったのはグラスワンダー。その差はわずかに4センチだった。
後に種牡馬となり、スペシャルウィークはブエナビスタ、シーザリオらを、グラスワンダーもスクリーンヒーローを送り出し、その仔のモーリスは国際レベルの活躍を果たしている。
【G1有馬記念】伝説の名勝負と語り継がれるグラスワンダーVSスペシャルウィーク
2016.12.22 14:00
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