今度も、若さと落ち着きを兼ね備えたリーダーが先陣を切る。
国内最高峰のトップリーグ(TL)で今季3位だった前王者のパナソニックは、1月21日、シーズンを締めくくる日本選手権の準決勝に挑む(大阪・東大阪市花園ラグビー場)。ゲーム主将を務める布巻峻介は、加入2年目の24歳。日本代表の堀江翔太が主将を務めるなか、今季のTLでは終盤の4試合で重責を担ってきた。
その役割を務めた公式戦後の会見時、こう話したことがある。
「チームを盛り上げていこうというのは心がけましたけど、あまり、変わったことはしていないです」
身長178センチ、体重96キロのFLは、飛躍のシーズンを終えようとしている。
今季は定位置を争う西原忠佑が故障(21日に復帰予定)したことなどを受け、開幕から12試合に先発した。開幕前のこの決意を、身体で示した格好だ。
「ロビーさん(ディーンズ監督)が皆に対して言うのは『チームのためになる何かをしよう』ということ。僕はポジション的にも、その『何か』の数を増やしていきたい。ディフェンスは僕の強みだと思っている。そこで(相手を)圧倒していきたい」
初の日本代表入りも果たした。11月の代表ツアーに参加時も、持ち味のタックル、ジャッカル(密集戦で相手の球を奪うプレー)をアピール。3キャップ(国際真剣勝負への出場数)を手にした。
特に19日、カーディフ・プリンシパリティスタジアム(ミレニアムスタジアム)での印象は鮮烈だった。
スタンドに約7万人のファンが詰めかけるなか、ジャパンは欧州6強の一角であるウェールズ代表と激突する。背番号7をつけた布巻は、「自分の仕事をある程度絞って臨んだ。タックルならある程度通用することが(事前に)見えていたので、タックルへ行きやすいポジションにセットする…」。黒子役を全うした(●30-33)。
帰国後の本人は「(気持ちを国内の戦いに)切り替えたので、記憶も曖昧ですけど…」としながら、こう振り返っていたものだ。
「ラグビー的にもそうですが、人生的にもプラスになったことが多かったです。素晴らしいスタジアムで試合をしたこともそうですし、あのチームで新しく仲間になった人もいたり…。