過去の名作マンガではなく、現在連載中の作品で、もっとも勢いのある野球マンガはいったいどの作品なのか!?
野球マンガ評論家・ツクイヨシヒサと、野球太郎ライターのオグマナオトがランキング形式で紹介する「この野球マンガがすごい!」。昨年に続いて2回目となる2017年度版。今回は1位から3位について。
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■1位:『バトルスタディーズ』(なきぼくろ/講談社「モーニング」連載、既刊8巻)
【あらすじ】
野球名門校DL学園野球部1年の狩野笑太郎らは一つ屋根の下、寝食をともにする合宿生活。パイセンの命令は天の声。逆らうヤツはあの世行き。されど楽しい野球漬け。元PL学園球児が描く超リアル高校野球の世界。
【選定理由】
ツクイ:2位(8pt)/オグマ:2位(8pt)/計16pt
ツクイ:去年1年で評価がさらに高まった作品だと思います。まずは、なきぼくろ先生の野球リテラシーの高さ。それに加えて、マンガとしての表現力も増してきた印象です。
オグマ:従来の野球マンガにはないアングルが多くて、毎週のその新しい視点を探す楽しさがあります。特に走塁シーンが見物。走塁がカッコいい野球マンガなんて、ほかに記憶にありません。
ツクイ:ベタを多用した「黒い野球描写」も、完全に確立しましたよね。
オグマ:なきぼくろ先生曰く、過去の野球マンガをほとんど読んでいないそうです。せいぜい『ドカベン』くらい。本当に野球漬けで、高校に入ってからはPLの寮生活でマンガのある世界にいなかった。だから、「野球マンガっぽくないですね」といわれることに対しては、「へー、そんなんだ」という感想しか抱けない、と。つまり、狙って新しいアングルを探しているんじゃなくて、自分が純粋にカッコイイと思えるものを描いている。
ツクイ:そもそもユニフォームの着こなしや、立ち姿だけでもうすでにカッコイイですからね。難点を挙げるなら、似たような顔の部員が多いところかな。でも最近は、主人公・狩野笑太郎がいなくてもストーリーが回っていくほど、各キャラクターが立ってきましたからね。すごいと思いますよ。
オグマ:ここのところずっと上級生の試合ですからね。それだけ、キャラクター個々の造詣がなきぼくろ先生のなかではできている、と。
ツクイ:あとはやっぱり、リアリティーの濃度がワンランク違う。練習で喉がカラカラに渇いたとき、地面にツバを吐いたら泡の状態になる。それがサラサラなのは、裏で隠れて水を飲んだからだと先輩に喝破される……とか、実体験をくぐり抜けてきた人じゃないと絶対に描けない(笑)!
オグマ:PL野球部が休部になった今、「PLの遺伝子」はここで受け継がれている、というね。
ツクイ:その通り! 一方で、PL野球部というブランドに向けられていた、ある種の色眼鏡みたいなものはもう気にしなくていいわけだから、今後はもっともっと自由に描いていって欲しいですよね。結果として『バトルスタディーズ』が残ることで、PL野球部が神話になっていくわけですから。これもう、『スター・ウォーズ』ですよ。遠い昔、常識っぱずれのフォースを持つジェダイの部員たちがたくさんいました……っていう。その意味でも、ますます期待したいです。