金正恩氏の「国民虐待」に手を貸す外国の仲間たち

| デイリーNKジャパン
金正恩氏の「国民虐待」に手を貸す外国の仲間たち

ロシアで20年近く暮らしてきた北朝鮮労働者が、ロシア警察に逮捕され、強制送還される危機に瀕している。

国際社会から自国民に対する人権蹂躙を非難され続けている金正恩体制だが、北朝鮮と国境を接する中国も、間接的ながらそこに加担してきた。脱北者が国に連れ戻されたら収容所での虐待を免れないと知りながら、北朝鮮から逃れてきた人々を摘発して強制送還してきたのである。

そのため、誰にも法的な保護を求められない脱北者たちは、中国の地においてさらなる人権侵害に苦しむことにもなっている。

そしていま、ロシアまでがそこに加担しようとしているのだ。

ロシア・サンクトペテルブルクのオンラインニュースサイト「フォンタンカ」によると、北朝鮮労働者のチェ・ミョンボクさんは先月、警察当局に逮捕され、レニングラード州ブセボロジュスクの裁判所から強制送還命令を受けた。

チェさんは現在、不法滞在者収容所に収監されており、強制送還命令は今月10日に執行される予定だ。今回の決定は、ロシアと北朝鮮が昨年2月に結んだ「不法入国者と不法滞在者収容と送還に関する協定」に基づいたものだ。同協定に対しては、ロシアが脱北者を北朝鮮に送還する根拠となると批判の声が上がっていたが、それが現実のものとなろうとしている。

ロシアの人権団体「メモリアル」のオルガ・ツェイトリナ弁護士は、チェさんの強制送還を防ぐためにロシア連邦保安庁(FSB)を訪問し、担当者に「強制送還されれば処刑される可能性がある」などと説得したものの「全く理解されなかった」(ツェイトリナ氏)。

そのため同弁護士は、フランス・ストラスブールの欧州人権裁判所(ECHR)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に人身保護請求を申し立てるなど、あらゆる手立てを講じている。

ちなみに、FSBの前身は旧ソ連時代の諜報・公安機関、国家保安委員会(KGB)である。旧ソ連において、反体制派の摘発・弾圧を行ってきた同じ組織が、北朝鮮による同様の行為を手助けしようとしているわけだ。

北朝鮮出身のチェさんは、ロシア沿海州に派遣され働いていたが、1999年に職場から脱出した。

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