木村拓哉の存在感が薄すぎる?もはやネタドラマの『A LIFE』第5話

TBS日曜劇場「A LIFE~愛しき人~」公式サイトより

 木村拓哉(44)主演のドラマ「A LIFE~愛しき人~」第5話が12日に放送され、平均視聴率は前回から1.6ポイント上昇して13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となりました。

 第5話は、外科部長の羽村(及川光博)の恩師であり、心臓外科の権威である山本(武田鉄矢)の医療ミスを軸としたお話。事故調査委員会のメンバーに選ばれた羽村、副院長の壇上壮大(浅野忠信)、くだんの患者を診察することになった沖田一光(木村拓哉)の間で、三者三様の思惑が交錯する展開となりました。ただ、脚本があまり良くないため、またしてもヘンテコな登場人物たちが一貫性のない行動を取っていろいろかき回した、という出来に。

 中でも、医療ミスを隠蔽するかどうかについての羽村の言動は、あっちに行ったりこっちに行ったり。直前のシーンとつながらない行動ばかりで、正義感があるのかないのかさっぱり意味がわかりません。これには副院長もご立腹。「お前こそ何がしたいんだよ!」と視聴者を代弁する渾身のツッコミを入れてくれました。

 副院長は副院長で、深冬(竹内結子)に脳腫瘍を告知した後にどんな顔をして家で過ごせばいいのかとわめいてみたかと思えば、弁護士(菜々緒)とベッドインしていたり、かと思えば「深冬がオレを頼ってくれたんだ」と泣いてみたり、忙しすぎ。多重人格かな?と心配になります。

 あと、副院長ってこんなにヤクザキャラでしたっけ。いい歳して、しかも経営者の立場で、外科部長に向かって「オレだって必死なんだよ。うっせーな」はないでしょう。「どうして何も教えてくれないんですか。わたしはあなたのなんなんですか」とキャンキャン騒ぐ弁護士に向かって「ちょっと出てってもらっていいですか」もひどすぎ。菜々緒はあの名言を今こそ言うべきです。「エッチだってしたのにふざけんなよ!」

 さて、引っ張るにいいだけ引っ張ってきた深冬の脳腫瘍の件は、本人が検査したいと言い出したことでもはや隠し切れなくなり、第5話のラストで本人に告知されました。すぐに告げなかったことを詫びる沖田に深冬が返した言葉は、「おめでとうって書いてあったね。メールの返信」。

 うわー何それ。軽いホラーです。10年前、今の副院長にプロポーズされたことを知らせるメールの返事が「おめでとう」だったことをいまだに根に持っている30代子持ち。かなりの地雷物件です。別に結婚すると報告したわけでもないのに、おめでとうはないだろうという彼女の言い分もわかります。でも、今さら言うことじゃないでしょう。いちいち沖田と深冬の過去の因縁を入れてくる脚本、ちょっとウザいです。単純な善悪の対立ではなく、様々な面を持つ生身の人間を描くんだという意図はわからなくもないですが、苦悩の過程が視聴者には伝わらないので、各登場人物が脈絡なく突発的な行動を取っているように見えてしまいます。

 そんな中で、職人肌ではあるもののまあまあまともな人間として描かれている沖田(木村拓哉)の存在感はどんどん薄くなる一方。キムタクを引き立たせるドラマとしては、あまり成功していないように見えます。ただ、浅野忠信の怪演に代表されるようにある意味突き抜けてしまっているので、ネタドラマとして楽しまれているという側面もありそうです。存在自体にツッコミの多い弁護士(菜々緒)が話の軸となる、第6話にも期待しましょう。

文・中島千代

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