超能力ブームに当て込んだ「珍玩具」

| まいじつ
超能力ブームに当て込んだ「珍玩具」

「元祖クールジャパン」再検証 ~ファイル9【超能力 念力スプーン】~

いまから43年前の1974年3月7日夜、自ら“超能力者”を名乗るイスラエル生まれのユリ・ゲラーが、日本テレビ系のテレビ番組『木曜スペシャル』の超能力特番に登場し、金属製のスプーンを、自分の指でさすっただけで“ぐにゃり”と曲げてみせました。

その真偽は置いといて、われわれ日本人が、“超能力”というものをテレビというメディアを通じて一瞬にして認識した歴史的瞬間でした。

その後「自分にもスプーン曲げが出来る!」という少年が続出。「キミも超能力者になれる!」とブームをあおる関連書も多数発売されました。恥ずかしながら、わたしも超能力者になれることを信じて、一心不乱に超能力開発用の『ESPカード』で特訓したものです。

そんな狂騒の中で発売されたと思われる駄玩具がこの『超能力 念力スプーン』です。

折れている部分が銀紙で隠してあるだけの単純なトリックを使った、チープな手品グッズです。「なぁ~んだ、くだらない」と思うなかれ。

人というものは複雑に考え過ぎて、そのトリックが単純なものほど気付かないものなのです。一流のマジシャンがこの駄玩具を使えば、おそらくたいていの人は騙されてしまうに違いありません。

毎日、大量に流布され、当たり前だと思われている情報の中にこそ巧妙に仕組まれたトリックがある、とわたしは思います。

とんでもない事態になって「あ~、騙された!」と後悔しないよう、真偽を見極める力を鍛えておきたいものです。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

ピックアップ PR 
ランキング
総合
カルチャー