「やべぇ・・・」。
ダレル・ハミルトン・ジュニアさんの脳裏には、この言葉だけがグルグルと螺旋のように回っていた。
場所はセスナ機の後部座席。彼は同乗している彼女に、プロポーズをしようとチャンスを狙っている。
今にも“逆流”してしまいそうな、乗り物酔いと戦いながら。
ダレルさんは、告白を確実に成功させるため、あるプランを練っていた。
それはまず、あらかじめ地上に女性へと向けて“サイン”を作っておき、その旨をパイロットとも相談して見えるコースを飛んでもらう。
そして、その場に到着したタイミングで指輪を取り出すと共に愛の言葉をぶつけるという、シンプルかつ中々に相手の心にも響きそうなアイデア。
・・・しかし自分が飛行機に乗ると“ゲロゲロ”になってしまうことを知らずに。
いくら後悔しても、もう2人がいるのは空の上。吐きたいからといって扉を開けて飛び降りるというワケにも当然いかない。
意を決したダレルさんは、“地上絵”に着くと同時にプロポーズを敢行する。
「ボクと結婚してくれるかい?」。
その言葉が彼女さんに届いた瞬間、彼は、吐いた。