漢 a.k.a GAMI「俺が身につけた、唯一の生きていく手段がヒップホップ」

| 日刊大衆
漢 a.k.a GAMI「俺が身につけた、唯一の生きていく手段がヒップホップ」

 俺は、高校生のときにラップを始めたんですが、音楽性に優れているメンバーがいるわけではなく、音楽に触れたことのないやつらばかりが集まっていたんですよ。だから、リアルという武器を身につけることが手っ取り早かったんです。

 ラッパーには、自分が吐いた言葉に責任を持つやつと、1年後にまったく逆のことを言っているやつとか、いろいろいるんです。僕らがフリースタイルのバトルを、有名なラッパーにふっかけていったときは、リアルルールを徹底してきた。マイクを置いたら、違う口調になっているなんて許さねえぞって。だから、本当の喧嘩に近かった。

 街中を歩いていたら、急にフリースタイルのバトルを仕掛けられるなんてことはしょっちゅう。本当にめんどくせえなってくらい、仕掛けてくるんで、“YO!”とか言い出してきた瞬間に、逆にこっちから喋りかけたり、“こいつラップしそうだな”って雰囲気だったら、睨みつけて、バトルをふっかけてこられないようにしていました。それでも、バトルになることもあって、歌舞伎町でインタビューを受けていたら、ラッパーが絡んできて、そのままフリースタイルが始まったこととかもありましたね。

 ただ、ラップにハマっていくと、昔は手を挙げていた人間も拳を抑えていくんですよ。殴ったほうが手っ取り早いなと思っていたのが、“今はラッパーだし”と思いとどまるようになる。そもそもヒップホップの始まりは、ギャング同士の喧嘩だったんですよ。銃を持たずに、ラップやブレイクダンスで勝負しろっていうのが、起源だった。

 だけど、いまだにアメリカでは、喧嘩でラッパーが死んでいるから、“何やってんの?”って思いますよ。俺らは、アメリカから教えてもらったヒップホップというシステムで、殴り合いっこもしたし、確かめ合いっこもしたけど、ピースに生きていける手段を教えてもらったのに。

 ただ、日本だと、最近は『フリースタイルダンジョン』っていう番組ができるくらいフリースタイルが流行ってきて、スポーツ感覚になってきたんですよ。マイクを持っているときは、やってもいないことをいろいろとデッチ上げて、ディスってきていたのに、終わった瞬間に“お疲れ様でした!”なんて爽やかに挨拶してくる。それはそれで、ちょっと違和感はありますけどね。

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