亀梨和也主演「ジョーカー・ゲーム」と金正男氏暗殺事件を結ぶ点

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北朝鮮は金正男氏暗殺事件でも、これまでのテロや暗殺と同様に、関与を否定している。過去のラングーン事件も、大韓航空機爆破事件も“韓国の自作自演”で通した。だが、北朝鮮が暗殺要員を養成し、テロを行ってきたのは周知の事実だ。

スパイや工作員を、教育と養成するのは『金正日政治軍事大学』で、その別名は『朝鮮労働党130連絡所』、『人民軍695軍部隊』ともいわれる。その教科書『金正日主義対外情報学』は上巻だけで365ページと分厚い。

「北朝鮮では暗殺は正義なので、マニュアル中では“暗殺”という言葉は使われておらず、“処断”となっています。その処断の項目には、金日成の言葉がふたつ示されています。《一部反動を処断することも必要》、《売国奴を処断し、反逆者の家族を討伐することも必要だ。密告者も何人か射殺すれば連中は減らせる》と。そして、処断の方法として銃撃、毒針、毒薬投与、刺殺や撲殺、郵便物や所持品に爆薬を仕掛け爆殺するなどと記されています」(北朝鮮ウオッチャー)

北朝鮮がモデルにした日本のスパイ養成組織

日米開戦前の世界を舞台にした亀梨和也主演のスパイ映画『ジョーカー・ゲーム』では、旧日本陸軍内に秘密裏に設立された実在のスパイ養成組織『陸軍中野学校』がモデルになっている。太平洋戦争が終わったあともフィリピンのジャングルに潜み、戦後30年近くたってから生還した元日本兵の故・小野田寛郎氏も同校の出身者だ。

「北朝鮮の工作機関が、戦後に手本としてきたのがこの陸軍中野学校なのです。今回の金正男氏暗殺事件のような暗殺や、テロを日本で起こさないためにも、北朝鮮のスパイ工作を知り、日本がカウンターインテリジェンス(防諜)を推し進めなければなりません。そのためにも、中野学校を知ることは重要なのではないでしょうか」(軍事ジャーナリスト)

しかし、中野学校の教えと金正日主義対外情報学とは真逆だ。

「中野学校の教えのなかには、『死ぬな、殺すな』、『謀略は誠なり(真心から発する誠がなければ大事を成すことはできないという意味)』という精神があったとされています。現在の北朝鮮の工作機関とは似ても似つかないものだったのです。日本のスパイは“謀略は誠なり”を旨としているので、相手国の一般国民を拉致するような工作はしませんでした。それでは相手国の国民の心を日本に向かわせることができないからです」(同・ジャーナリスト)

貴重な歴史の教訓に目を向けるべき時かもしれない。

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