母親が暗殺され、急遽、留学中のフランスから帰国。大統領だった父(注1)のファーストレディ役を務めることになる。が、その父も1979年に暗殺されるなど、最初から彼女には悲劇の匂いが付きまとっていた。
大韓民国第十八代大統領、朴槿恵氏(65)がついに逮捕された。韓国、いや東アジアにとって、彼女の4年に及ぶ治世は何だったのか──。
今回、<大統領経験者から3人目の逮捕>とする報道が多かったが、前の二人(盧泰愚氏・84と全斗煥氏・86)は退任後のお縄。朴槿恵氏の場合は任期中に罷免され、失職した韓国史上初の大統領となってしまった(注2)。
そこまで朴槿恵氏を追い詰めたのは、いわゆる崔順実(チェ・スンシル・60)疑惑。友人と称する怪しい女を国政に介入させ、その過程で収賄があったと認定されてのことだ。それが妥当かは韓国の司法を信じるしかない(注3)が、就任当初は60%を超える高い支持率を誇った彼女への国民の憎悪は、果たしてそれだけが原因だったのか?
「崔順実疑惑の前のセウォル号沈没事件へのまずい対応で、朴槿恵大統領株は急降下した。加えて韓国特有の国民感情もあって、支配層が失敗すると、いつも大衆とメディアがカサにかかって攻め立てる騒ぎになる。財閥令嬢を叩きまくった<ナッツリターン騒動>(注4)もそうだが、儒教的な上下関係が息苦しい社会だけに、上が下に落ちてくると異様な興奮状態に陥るケースが多い」(韓国通ジャーナリスト)
もちろん長きにわたる経済の低迷や、中国とアメリカを天秤にかけたあげく両方から距離を置かれた外交手腕の拙さ、などなど。政治家としての朴槿恵大統領の力量に対して、不満が高まっていたことも背景にある。