スペイン南部、アンダルシア地方の古都・コルドバ。かつて後ウマイヤ朝の都として栄え、今なおイスラム文明の香りを色濃く残す街並みは世界遺産に登録されています。
世界遺産・コルドバ歴史地区の見どころのひとつが、王城「アルカサル」。
アルカサルといえばセビーリャのものが有名ですが、コルドバにもアルカサルがあるのです。
グアダルキビル河畔に建つアルカサルは、イスラム建築の影響を残しながらも、建設されたのはキリスト教徒の王の治世下に入ってからのこと。レコンキスタでコルドバを攻略したカスティーリャ王アルフォンソ11世によって、イスラム王の宮殿の跡地に、14世紀に建設されました。
イスラムの建築様式と、キリスト教の建築様式を融合して発展させた、ムデハル様式で建てられています。
アルフォンソ11世の時代以降も、キリスト教徒の王族の住居として使われたために、「キリスト教徒の王たちのアルカサル」とも呼ばれます。
15世紀末にはイスラム勢力の最後の砦・グラナダを攻略する際の拠点となっただけでなく、コロンブスが新大陸発見を目指す航海の資金援助を仰ぐために王に謁見したのも、このアルカサル。堅牢な王城は、数世紀にわたり、重要な歴史の舞台となってきたのです。
城の内部には、ローマ時代のモザイク画や、見事な彫刻が施された石棺などが展示されています。