同じ仏教国ではあるが、日本と違い何故タイにはお墓がないのか調べてみた

| 心に残る家族葬
同じ仏教国ではあるが、日本と違い何故タイにはお墓がないのか調べてみた

友人が10数年前タイに旅行に行った時の話をしてくれました。ツアーでいったのですが自由時間にぶらぶらバンコク市内を散策していたところ、民家の門の脇に祠のようなものがあり、骸骨が祀ってあったというのです。もう時間がたっていることもあり、今も幻のような気がするそうです

■タイにはお墓がない

タイは日本と同じ仏教国ですが、通夜・葬儀は葬祭場ではなくお寺で行われます。そしてそのお寺の中に備えられている火葬場で火葬に付されます。火葬が終わると遺灰と遺骨は壺に収められるのです。と、ここまでは小さな差異はあれほとんど日本のお葬式と違いはありません。一番驚くのはタイには墓地がないということです。

埋葬を希望した場合、寺院の通路や壁にくりぬかれた納骨堂に遺骨や遺品を安置してもらいます。そしてその上をモルタルで塗り固め写真や名前を貼っておきます。特別希望がない場合はそのまま散骨することもあるそうです。埋葬した場合も数年ほどたつと自宅へ持って帰って安置し、その後散骨するそうです。私の友人が見たのも自宅で安置されている遺骨だったのかもしれません。

■身体とは仮の宿りであるという信仰

日本人にとって不思議な気分がする風習ですが、これを考える上でタイの宗教を理解する必要があるかもしれません。

タイは仏教国ですが、日本の仏教とは考え方が少し違います。ごく簡単に書くと日本の仏教は『大乗仏教』といわれ出家しなくても修行や生き方次第で仏様により極楽往生ができるとなっています。
一方タイは『上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)』という仏教の分類で、出家して自分で修業を積むことが大事なのです。

そのためタイでは男性は一度は出家して頭を丸めるそうです。そして修行をしているお坊さんをとても尊敬します。また輪廻転生の考え方が浸透していて、体は滅んでも心は生まれ変わる、または仏様になれると今でも信じられているそうです。つまり身体とは修行するための仮の宿りに過ぎず、親しい家族をしばしお祀りした後は散骨をして自然に戻すのが当たり前のことなのでしょう。

■最後に…

家と先祖の象徴としてお墓を大事に守っている日本。そのわたしたちからみるとお墓がないのは妙な気がします。しかし生まれ変わるためにはまず自然に戻らなければならないのでしょう。そして日本でも今は散骨や樹木葬がブームです。それを思うと人間はいつもどこかで自然に還りたがっているのではないかと思うのです。皆さんはどうお考えですか。

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