沢尻エリカ(31)が主演を務める『母になる』(日本テレビ系)第3話が26日に放送され、平均視聴率9.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)となり、前回より1.4%ダウンした。
第3話は、広(道枝駿佑:関西ジャニーズJr.)が結衣(沢尻エリカ)、陽一(藤木直人)と再び家族として一緒に暮らしていく。だが、広は2年前に自分を施設に預けた母・麻子(小池栄子)が再び迎えに来ることを信じている……という内容だ。
”産みの親”である結衣と”育ての親”である麻子。本当の親でありながら空白の期間をなかなか埋められずに葛藤する結衣と、小さい頃から一緒に暮らしてきて“ママ”と慕われているにも関わらず、本当の親ではないという葛藤を抱えている2人の対極的な『母』に注目が集まった。
2人の「母」が、それぞれに広を大切に想っていることは十分に理解できる。ただ広の気持ちを考えてみてほしい。彼女たちが抱いている広に対する愛情は、果たして広の心に届いているだろうか? 答えはNO。きっと広には届いていない。子どもの気持ちを無視して、自分の気持ちだけを優先させる母親たちに振り回されているようにしか見えないのだ。
一見すると、広は結衣と陽一に心を開いているようだが、そうではない。ただ、周りの環境に合わせているに過ぎない。本当の気持ちは、ママである麻子にある。そして、そのことに気づいているはずの結衣と麻子。しかし、いつかは自分を迎えに来てくれると信じていた麻子も「もう自分のことは忘れて」と突き放してしまうのだった。
母親の立場からすると、子どもを想っての行動なのだろうが、まだ13歳の子どもにそんな大人の葛藤が分かるはずもない。実際は、「ママに捨てられた」「自分は柏崎家で暮らしていくしかない」という現実だけが突きつけられるだけだ。
なぜ、誰も広の本当の気持ちに寄り添おうとしないのだろうか。子どもに試練が訪れた時、自分自身で解決できるようにと「見守る立場」を選択する親も多いと思うが、それは正しいのだろうか。子どもが本音を言える場所、ここだけは安心できるという場所を作ってあげるのが親の役目ではなかろうか。今、広にはそんな風に安心できる場所や信頼できる人が周りにいない状態だ。
「人間だから嘘をつく」「生きている証だ」…。はっきり言おう。そんなこと、どうでもいい。なぜ、傷ついていると分かっていたのに、抱きしめてあげなかったのか。第3話では、麻子も結衣も広を抱きしめるというシーンが一度も描かれていなかった。
毒親とは、虐待や育児放棄などで子どもに悪い影響を与える親のことだが、愛情を伝えるのが下手な親も毒親になってしまう。自分は誰にも愛されていない、必要とされていないという勘違いを子どもがしてしまうからだ。こうやって育った子どもは、自分の気持ちを押し殺し、本当のことが言えなくなってしまう。すでに複雑な環境で育っていている広には、十分にその傾向があらわれていた。
ママに捨てられ、新しい家族と暮らす。そして、転校……。全ての環境がガラリと変わり、取り残されてしまった広の心に、最初に救いの手を差し伸べるのは誰なのか…。今後は、その点にも注目して見ていきたい。
文/吉本あや