現在でも戦地に赴き殉職する報道写真家は毎年何人も出ているが、今回は実在した報道写真家・一ノ瀬泰造をモデルとした1999年公開の『地雷を踏んだらサヨウナラ』を扱う。
主役の一ノ瀬を演じるのは浅野忠信だ。劇中ではベトナム戦争が飛び火し、戦いが激化するカンボジアに1972年4月に入国してから、アンコール・ワットを目指しクメール・ルージュ政権に処刑されたとされる、1973年11月までを描く。
書簡などをまとめた同名の書籍が原作なので、それほど話に大きな見せ場がある訳ではなく、淡々としている作品だ。しかし、浅野と一ノ瀬の当時の風貌がなんとなく似ており、20代のエネルギッシュなカメラマンとしてはしっくりくる演じ方だ。変な役を演じることが多い浅野としては、屈託のない笑顔もかなりかなり珍しい…。浅野が好きな人は別の魅力を感じるかも。
一ノ瀬が当時取材していたベトナム、タイ、カンボジア、ラオスなどを含むインドシナ半島は、第2次大戦終了直後から、フランスやアメリカの戦争介入や内戦などで、戦いが絶えない地域で、兵士・市民だけではなく、ロバート・キャパをはじめ、日本では他にピュリッツァー賞の受賞経験もある沢田教一など、多くの報道カメラマンの命を奪ってきた場所として知られていた。劇中でのその辺りの話はカメラマン同士の会話などでなんとなくではあるが説明される。今では世界遺産に登録され、観光地となっているアンコール・ワットも、当時は1975年にカンボジアの政権を奪取した独裁者ポル・ポトが精神的な指導者となっていた、クメール・ルージュ政権が占拠しており、普通の人が行くのは不可能な地域となっていた。
そんなアンコール・ワットに一番乗りしようと意気込むのが、一ノ瀬なのだが、始めはただ単に功名のためだったがその気持ちが段々と変化してくる。いや、変化しているのはわかるのだが、どうしてそこまでになったのかイマイチわからないのが、本作の良いところでもあり、悪いところでもある。
この作品、実在の人物の書簡が元になっているので、変にヒロイックさや、反戦のメッセージも送らない。「そこに山があるから」レベルで「そこに戦場があるから」という勢いで取材している。
【不朽の名作】実在の報道写真家を浅野忠信が演じた「地雷を踏んだらサヨウナラ」
2017.05.06 12:00
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