アポロ14号が月に着陸した71年にデビューし、その1年後には芸能界から姿を消す。伝説の、あるいは幻の女優とも呼べるフラワー・メグ(65)が、長い沈黙を破って蘇った。
フラワー・メグの伝説の一つに「日本で初めてテレビで上半身一糸まとわぬ姿を披露」というのがある。NET(現・テレビ朝日)の深夜番組「23時ショー」のアシスタントとして、みごとなプロポーションを披露。
「私はそれまでも赤坂のステージでそうした姿になっていたので、特に抵抗もなかったの。ただ、オンエア後に『教育上よろしくない』とか、抗議の電話は多かったみたい」
まるでふだん着であるような脱ぎっぷりのよさは、映画や雑誌グラビアでも重宝された。
さて、当時の深夜番組の雄といえば「11PM」(日本テレビ系)である。実は両方の番組から声がかかっていたが、ディレクターの熱意にほだされて「23時ショー」を選んだ。そのことで、思わぬ感謝もされた。
「何年か前に真理アンヌさんにお会いしたら『私の恩人なんです』と。私が断ったために『11PM』のほうは真理アンヌさんになり、それから5年間もレギュラーを続けたそうです」
赤坂のステージとは、ゴーゴークラブにヌードショーを加えた「スペース・カプセル」のこと。文化人や政財界人の来客も多く、三越・岡田茂元社長や小社の創業者・徳間康快は、特に目をかけてくれたという。
実はハーフではないが独特のエキゾチックな美貌、そしてスレンダーグラマーな肢体は、映画の世界においても鮮烈な光を放った。
「新藤兼人監督の『鉄輪』(72年、ATG)は、何の指導もお叱りもなく、ほとんど撮り直しもなくやらせていただきました。中年男の若い愛人という設定で、ずっとヌードのまま出ずっぱりでしたけど、楽しい撮影でしたよ」
デビューした71年には、東映の人気シリーズ「不良番長 手八丁口八丁」にも出演している。梅宮辰夫が主演で、かわいがられていたメグは梅宮を「お兄ちゃん」と呼び、気がつけば膝の上に乗っていたという。そして梅宮の“弟分”によって事件が起こった──。
「ある日、梅宮さんの楽屋にいたら、安岡力也さんが入って来て、私の顔をペローンって舐めたんです。