プロレス解体新書 ROUND53 〈今も輝く珠玉の名勝負〉 “タイガーvs爆弾小僧”黄金対決

| 週刊実話

 初代タイガーマスクのデビュー戦で対戦して以降、幾多の名勝負を繰り広げた好敵手のダイナマイト・キッド。対戦成績ではタイガーの圧勝ながら、カミソリのように研ぎ澄まされたキッドの闘い模様と佇まいは、今なおプロレスファンの胸に刻み込まれている。

 初代タイガーが新日本プロレスに在籍した2年4カ月のシングルマッチ戦績は155勝1敗9分。その唯一の敗戦もキッド戦でのフェンスアウト(当時は場外鉄柵の外に相手を出すと即敗戦のルール)で、フォールやギブアップでの負けは1度もない。
 厳密に言えば、メキシコ遠征時、3本勝負のうちの1本を奪われたことが3試合あるものの(相手はビジャノ3号、ペロ・アグアヨ、フィッシュマン)、いずれも最後はタイガーの勝利に終わっている。
 「タッグマッチまで広げても確認できる敗戦記録は10試合程度で、それも全部パートナーがやられたものです」(プロレスライター)
 シングル唯一の黒星をつけたキッドも、トータルでは6勝1敗1分とタイガーが大きく勝ち越し。ライバルとされた選手との対戦でも、ブラック・タイガーとは4勝5分。小林邦昭には7戦全勝と、やはり圧倒している。

 ちなみに、他のライバル関係といわれる顔合わせでは、アントニオ猪木とタイガー・ジェット・シンは猪木の23勝7敗7分だが、完全決着勝利は9試合のみ。2度のフォール負けも喫している。ジャイアント馬場とアブドーラ・ザ・ブッチャーも30戦以上闘って、半分近くが引き分けとなっている。
 「プロレスの常識からすれば、ライバル関係とは勝ったり負けたりしながら、つくられていくもの。そうでなければ観客の興味が続かないですからね。しかし、初代タイガーに限っては、勝ちっぱなしでいながらライバル関係を構築し、ファンからも高い支持を得ていた。それほどまでにセンスが飛び抜けていたということでしょう」(同)

 もちろん、これはタイガーだけの功績ではなく、相手もあってのことだ。
 「やはり1番はキッドでしょう。ブラック・タイガーは両者リングアウトで次に興味をつないでいたし、小林もマスク剥ぎの反則アングルがあった。

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