(その2からの続き)
中国で“反腐敗キャンペーン”チームを率いて、聖域に切り込んだ習近平国家主席の右腕である王岐山も消えた。これにはいまも中国に拉致拘束されている大富豪、肖建華の兄貴分で、権力者の金庫番である郭文貴氏が絡んでいるともいわれる。
郭氏はアメリカメディアに神出鬼没しており、アメリカ国営放送の『ヴォイス・オブ・アメリカ(VOA)』などに突如出演したり、また中国語メディアやYouTubeなど、西側のメディアを駆使するなどして中国共産党の腐敗を暴いている。また、トニー・ブレア元イギリス首相は「郭文貴とは十年来の友人である」と語ったこともあるが、身辺に関しては一切発言していない。
「郭氏はブレア夫人の著作『私自身を語る』の原書を500冊、中国語訳本を5000冊も買い上げ、元首相に近づいていったといいます。ほかにも『中国高官らの淫行現場のビデオを持っている』と発言したり、王岐山の豪邸を暴くなど、危険人物でもあります」(在日中国人ジャーナリスト)
しかし、中国の庶民のあいだでは郭氏を支持する人間は多い。VOAの番組などは、すぐに中国版のツイッターともいわれる『微博』などに転載されたが、削除されてしまっている。
「VOAの番組(4月19日)では、3時間にわたって、中国共産党幹部等の腐敗を暴き続けました。中国当局はインターポールを通じて、郭氏を指名手配していると発言していますが、アメリカ国内のどこに隠れ住んでいるのか全く不明です。一説には、FBIなどのアメリカの捜査当局の保護下にあるといわれており、手が出せないのが実情だと言われています」(同・ジャーナリスト)
郭氏は中国の株式インサイダー取引に絡み、秘密口座などを駆使し、太子党や共産党幹部の資金を運用していたため、秘密を握る人物だとされた。しかし、馬健(当時公安部副部長)の失脚直前に海外へ逃亡している。