森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 総理はあきらめていない

| 週刊実話

 8月3日の第三次改造内閣の発足を受けて、メディアはポスト安倍に関心を移した。危機的な内閣支持率を受けての改造だったのに、サプライズもなく、ただ重鎮たちを並べた派閥均衡人事だったからだ。
 さらに、安倍総理の悲願である憲法改正についても、総理自身が「スケジュールありきではない」、「内容は自民党内で検討してほしい」と憲法改正を投げ出すような発言をしたのだから、メディアが安倍政権の終焉を感じ取るのも無理のないことだった。

 しかし、私は、安倍総理が憲法改正をあきらめたわけではないと考えている。それどころか、危機的状況のなかで、憲法改正に向けて最善の手を打ったのだと思う。
 改造内閣は、確かに新鮮味には欠けるが、これまでのように閣僚が国会で答弁ができなくなったり、スキャンダルが出てきたり、暴言が問題になったりする可能性は少ない。
 国民も政治にスキャンダルを期待しているわけではない。その証拠に、これまでの歴史をみても、内閣改造で支持率が上昇するのは、人気取りの新顔を並べたときではなく、重鎮を揃えたときなのだ。その法則は、今回も見事にあてはまった。共同通信社が内閣改造を受けて実施した世論調査では、内閣支持率は44%と、前月を9ポイントも上回ったのだ。
 朝日新聞の世論調査こそ2ポイントの上昇にとどまったが、報道各社が行った世論調査では、ほぼ大幅な支持率上昇が見られた。安倍政権は危機的状況を、内閣改造で乗り切ったとも言えるのだ。

 もちろん、それでも憲法改正に必要な国民投票を乗り切れる支持率には回復していない。しかし、安倍総理には秘策がある。それが、再来年10月から予定されている消費税率の“引き上げ凍結”、あるいは“引き下げ”だ。
 安倍総理は8月5日の読売テレビの番組で、消費税率10%への引き上げを「予定通り行っていく考えだ」と明言している。だが、その発言には何の意味もない。過去2回の消費税引き上げ延期の際にも、直前まで同じセリフを言っていたからだ。

 それでも、凍結や引き下げを財務省が許すはずがない、と思われる人が多いかもしれない。しかし、これから財務省に、ノーパンしゃぶしゃぶ事件以来の大逆風が吹く可能性がある。森友学園問題だ。

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