「おい。小説のタイトルが『アナログ』に決まったぞ。9月の終わり頃には出せそうだな」
ひと月程前、殿が1年がかりで取り組んでいた、書き下ろし純愛小説のタイトルが正式に決まると、“いよいよ出るぞ”といった感じで、こちらに報告をしてきたのです。そして、
「だから、〈次の殿の小説のタイトルが『アナログ』に決まりました〉って、お前のツイッターに書いとけ」
と、さらに続けたのです。もちろん、正式な発表前に、わたくしが勝手にツイッターでタイトルをバラすのは、誰がどう見てもまずいと思われ、「殿、発表前にそんなこと勝手に書いたら、出版社に僕が怒られますよ」と、当然の進言をすると、
「だったらあれだ。〈殿と出版社の人が楽屋で打ち合わせをしていたのですが、どうやら次の小説のタイトルが『アナログ』に決まったようです。取り急ぎ、全国のたけしファンにお知らせします〉って、お前が偶然、盗み聞きしたってことで、ツイッターに書いとけよ」
と、さらに火に油を注ぐ助言を無邪気に放り込んできたのです。もちろん、「そんなこと書いたら、もっと叱られますよ!」と、久し振りに殿を真正面からツッコんだことは言うまでもございません。が、そんなツッコミなどおかまい無しに、
「あとお前、〈たけしさんの小説を予約した途端、宝くじが当たりました!〉とか、〈痔が治りました〉とか、ネットに流しとけ」
と、わりとよく聞く、殿の悪ノリパターンで、周りを笑わせてもいました。
で、このたびの書き下ろし小説。書き上げていく途中、殿は何度も、
「映画の台本だと、〈雑居ビルの2階にある小さな喫茶店。そこへ女が入ってくる〉とかよ、ト書きで簡単に済ませるところを、小説は丁寧に描写しなきゃいけね~だろ。あれがやっぱり大変だよな」
と、改めて小説ならではの苦労を漏らしていました。
で、しっかりと時間と苦労をかけて完成したご自分のご本には、やはり愛着があるようで、完成してからは一転、「結構いいと思うけどな‥‥」「なんとか売れねーかな」等々、殿には珍しく、わりと素直な気持ちも漏らしていました。が、それだけで終わらないのが殿。