身近な人の死に子供をどう関与させるかという問題と100万回生きたねこ

| 心に残る家族葬
身近な人の死に子供をどう関与させるかという問題と100万回生きたねこ

今年の6月末、フリーアナウンサーの小林麻央さんが、癌で死去されました。34歳の若さです。永らく闘病中でした。彼女は、日々の療養生活をブログに綴り、その前向きで、健気なコメントには、読む側が、勇気づけられてきました。

■子どもたちと積極的に関わろうとした小林麻央さん

幼い、長女・麗禾ちゃん(5才)、長男・勸玄くん(4才)も、闘病中の麻央さんに寄り添い、その日々のエピソードは、度々、ブログの記事として、登場しています。幼子2人を残して亡くなられた麻央さんも、心残りだったことでしょう。夫で、歌舞伎俳優の市川海老蔵(39)さんは、「幼い2人は、まだ、母が亡くなったことを、分かっていない」と、涙をこらえながら、語っています。麻央さんが目を覚ますのでは、と亡くなられた後も、顔を触ったり、足をさすったりしていたのだそうです。

■子供が身近な人の死に関与することは意義があること

ハワイ・ホノルルを拠点に、死別などで親や身近な人を亡くした子どもの心的サポートを行っている専門家のシンシア・ホワイトさん(62)によると、身近なひとの死の看取りの過程に、子供を参加させることは、意義のあることと述べています。ともすると、日本では、近親者の重病を子どもには教えなかったり、病室へのお見舞いや、葬儀に参加させないような傾向があります。また、そのことが、近親者や、親の死という人生でも最悪の出来事を、受け入れられず、一生の心の傷、トラウマとして、抱えて生きる子どもも多いのです。子どもに近親者の死や重病を伝えて理解してもらうというのは簡単なことではないようです。親や大切な人が亡くなった時、子どもの発達段階にあった言葉で、子どもが理解できるよう説明することが大切なのです。

■100万回生きたねこ

1977年に講談社から出版された、佐野洋子さんの作品に「100万回生きたねこ」という絵本があります。100万年も死なずに、いや、100万回死んで、100万回生きた、100万回転生した、ねこの話です。

ねこは、その度に多くのひとに愛されました。しかし、ねこは自分が一番大好きであったため、死ぬことは、全く平気でした。100万回死んで、100万回転生した後で、ねこはのらねこになり、はじめて自分以外の猫を、白ねこを自分よりも好きになります。愛を知ったねこは、その後、二度と生きかえることはなかったのです。

子ども向けの絵本の体裁を取りながら、愛するものの死や、仏教の輪廻転生を軽やかに説くそのストーリーは、読み聞かせる側の、子どもに読んで聞かせるものではありますが、と同時に、大人にも「死とは?生とは?」を深く考えさせられる内容です。


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