なぜコソボにあるのにセルビアの世界遺産?ペヤ総主教修道院が表す複雑な歴史

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なぜコソボにあるのにセルビアの世界遺産?ペヤ総主教修道院が表す複雑な歴史

バルカン半島に位置するコソボは、2008年に独立を宣言した「ヨーロッパで最も若い国」。

おもにイスラム教を信仰するアルバニア人が多数を占める国だけあって、ヨーロッパにありながらそのエキゾチックなムードに惹かれ、コソボを訪れる旅行者も増えてきています。

その一方、コソボは独立国家として安泰であるとはいえないのもまた現実。

というのも日本を含む100ヵ国以上がコソボの独立を認めていますが、隣国のセルビアやロシア、スペインなどコソボの独立を認めていない国も少なくないからです。

旧ユーゴスラビア時代、コソボはセルビアの自治州だったこともあり、セルビアは今なおコソボは自国の一部であるという認識を崩していません。

そんなコソボの複雑な立ち位置を象徴しているのが、コソボ西部の都市・ぺヤ(ペーチ)にある世界遺産の修道院。セルビアがコソボの独立を認めない最大の理由のひとつがここにあります。

現在は人口の大部分をアルバニア人が占めているものの、ここはセルビア正教の総主教座が置かれた特別な場所。セルビア人にとっては、手放すことのできない重要な聖地なのです。

ぺヤの町の西端、ルゴヴァ渓谷の入口にひっそりと建つペヤ(ペーチ)総主教修道院。

町の中心部から25分ほど歩いてようやく赤い外観が目に入った瞬間、俗世間と隔絶されたかのような凛とした静かなたたずまいに感動を覚えます。

このペヤ総主教修道院は、セルビア正教会の修道院。中世の優れた建築様式や美しいフレスコ画などが評価され、デチャニ修道院やリェヴィシャの生神女教会、グラチャニツァ修道院とともに「コソボの中世建造物群」として世界遺産に登録されています。

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