2002年10月の東京ドーム大会において、新日本プロレスでは初となる男女一騎打ちが実現し、蝶野正洋とジョーニー・ローラーが対戦した。
橋本真也も武藤敬司も去り、藤田和之や高山善廣、ボブ・サップら外敵軍がリング上を席巻する“新日冬の時代”のことであった。
上司の理不尽な要求に困らされるというのは、およそすべての勤め人が経験することであろう。2002年、新日本プロレスに参戦した女子レスラーのジョーニー・ローラーは、まさにそのような悩ましい“案件”だった。
'97年に“チャイナ”の名前で、マネージャーとしてWWE(当時はWWF)に参戦すると、その筋骨隆々とした姿から“世界9番目の不思議”と注目を集め(世界七不思議に次ぐ8番目はアンドレ・ザ・ジャイアントで、9番目がチャイナとの意味)、'99年からは男子戦線に進出。女子としては初めて同団体の主要タイトルを獲得している。
'00年には米国の男性娯楽誌『PLAYBOY』でヌードグラビアを発表するなど人気も上々だったローラーだが、WWE内部のいざこざにより、'01年をもって退団。翌年4月、新日が設立したばかりのLA道場を訪れたことをきっかけに、参戦を果たすこととなる。
「このときLA道場の責任者だったのがサイモン猪木。新日の総帥であるアントニオ猪木の娘婿です。'00年に新日入社したサイモンが、LA道場の実績づくりとしてローラーのブッキングを画策し、それを猪木が後押ししたことで参戦が決まったわけです」(スポーツ紙記者)
それまでにも提供試合という名目で、北朝鮮平和の祭典や東京ドーム大会で女子の試合が行われたことはあったが、男女の絡みとなると新日では初のこと。
猪木の掲げてきた“闘魂”の旗印にはそぐわないと、これを快く思わないファンや関係者も少なくなかった。
では、猪木自身はなぜこれを認めたのか。
「まず、サイモンの手柄にするためというのはあったでしょう。また、同年に主催した格闘技大会『UFOレジェンド』にも参戦させたように、女子格闘家として手駒に加えたいという目論見もあったはずです。
プロレス解体新書 ROUND73 〈男女一騎打ちの裏事情〉 “猪木案件”をこなした蝶野の意地
2017.11.27 15:00
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