たばこはそんなに悪いのか 山路徹氏「喫煙車両に乗ったのに…」明らかに不快そうな顔されボヤく

たばこはそんなに悪いのか 山路徹氏「喫煙車両に乗ったのに…」明らかに不快そうな顔されボヤく

 今、東京都生活衛生同業組合など4団体が、東京都が公表した受動喫煙防止条例(仮称)に対して、慎重な議論を求める署名活動をおこなっている。11月20日には新宿、30日には錦糸町と精力的に署名を集めるなか、12月5日には作曲家・すぎやまこういち氏が代表を務める喫煙文化研究会が緊急シンポジウム「たばこはそんなに悪いのですか?2017」を開催。すぎやま氏のほか、経済学者の森永卓郎氏、参議院議員の石井苗子氏、ジャーナリストの須田慎一郎氏、山地徹氏、現代史家の秦郁彦氏、弁護士の野中信敬氏が登壇し、理解を呼びかけた。

 「喫煙文化研究会」は、美しい分煙を目指し、有識者が加入している団体。すぎやま氏が代表で、およそ40名が加入しているという。

 東京都議会で今年10月、「子どもを受動喫煙から守る条例」(http://www.gikai.metro.tokyo.jp/bill/2017/3-2.html)が可決。保護者に対して、公共施設のほか、家庭内でも子どもがいる室内や、また子どもと同乗する自動車内での喫煙を控えるように呼びかけている。あくまでも努力義務で、罰則は設けられていないとはいえ、家庭内での行動にも立ち入った内容は、波紋を広げている。

 それを受け、今回緊急開催されたシンポジウムの意図は、こうだ。

 “個人生活は、「憲法」で守られた人権であり、下位法である「条例」で規制されるものではないことと、今回は、努力義務ですが、いずれ罰則が科せられるとなりますと、憲法で保障されている「幸福追求権」にかかる可能性、「監視社会」の引き金を大きく懸念します。そこで、愛煙家の権利保護を訴える緊急シンポジウムを開催いたします”

■弁護士も疑問 『法は家庭に入らず』なのに…

 野中氏は、『法は家庭に入らず』という考え方があるにも関わらず、条例がそれに踏み込むことに首を傾げる。そして、「喫煙権というようなものはなく、“嫌煙権”なるものはある、みたいな話になってしまっている。権利があって、それを合理的な範囲内で必要最小限に制約しようとするから、いろんな知恵が出てくるもの。そもそもタバコはけしからん、喫煙権なんかなくてもええんやという話になったら、もう、力のロジック。数のロジックだけで押し切っちゃおうというふうになっている。今なんかそんな気がして、すごく嫌ですね」と顔をしかめる。

 石井氏は、自身は吸わないが、選択肢をなくす風潮はおかしいと主張。「吸いたい人と、いつでもどこでも望まない受動喫煙をしたくない人とのせめぎ合い。でも、いつでもどこでも吸いたい方はここでどうぞ、というのを設けていない条例(はおかしい)。権利を認めていない」と、共存に向けた前向きな議論がなされていないことを嘆く。

 森永氏は、欧米の基本ルールとして、屋内は禁煙だが、屋外は自由に吸える環境であることに言及。「東京都は屋内を禁煙にして、屋外も禁煙にして、さらに家庭内も禁煙にする。これはファシズム以外のなにものでもない」とバッサリだ。

■喫煙者イジメは“政治的パフォーマンス”? 

 議論のなかで、須田氏は喫煙者を追い詰めるような法や条例は、“政治的パフォーマンス”とも指摘。これに石井氏も同意を示し、「政治家は自分が何をやったかを示したいだけ」であり、国民の健康を考えているわけではないと話す。また秦氏は、件の都条例について、“家庭内で子どもと同室の空間で喫煙をしないように”という点において、東京都の担当者に「24時間(子どもと)一緒にいるわけでもない。(一緒にいるのが)どのくらいの長さからダメになるのか」と聞いてみたという。すると、「(条例には)何も書いてないので、1分でも1秒でも一緒にいたら該当することになります」という回答だったといい、およそ実行不可能な内容に唖然としたという。

■すぎやまこういち氏「タバコがなかったら、作曲数は半分になっていた」

 86歳になるすぎやま氏は、「ずっと譜面を書いていて、ちょっと行き詰まったり、なんかしたときに、作曲作業を休めて、タバコを一服する。これで次ができるんです。こういうね、一服のメリットというのをね、是非考えていただきたい。タバコがなかったら、作曲数は半分になっていた」とコメント。メリットを感じる人もいることを訴えた。

■山路氏、喫煙車両に乗るも…「譲り合い」呼びかけ

 進行を務めた山路氏は、「基本的には譲り合いだと思っている」としたうえで、先日の新幹線でのエピソードを披露。

 「このあいだ、番組に呼ばれるときにはグリーン車に乗せていただくんですけれども、喫煙車両というのが何本かに1本あるんですよ。座席に座ってタバコが吸える。だけどそのときは連休で、禁煙車両に乗りたい人たちが喫煙車両にも入ってきたんです。そうしたら、たまたま隣に座ったご婦人が、明らかにタバコがダメな人で。

 入ってきた途端口を押さえながら、ご主人と一緒に「ああ、ここしかないんだねー」とか言いながら。そうなると吸えないですよね、いくら喫煙席に座っていても。僕は番組の放送に間に合うように一生懸命新幹線を探して、これだったら名古屋まで一時間半の間タバコを吸いながら行けるな、よーしと思っていたのに…。でも、それも譲り合い。“喫煙席に座ったから俺は吸うんだ”ではなくて、やっぱり誰かが嫌な思いをしているのであればね、ぐっと抑えて。そうすることで自分の“吸う権利”を守りたい」と、喫煙車両に乗ったが、周囲を見て喫煙は遠慮したことを明かした。そして、「譲り合いの社会で、分煙社会に。前途は多難なようですが、力を合わせてやっていきたいと思います」と締めくくった。

 なお、署名は上野、八王子でもおこなったほか、WEBでも受け付けている。

文・大場嘉世

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