テロ死者数「2年連続減少」の国際的背景

| まいじつ
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先ごろ、オーストラリアに本部を置くシンクタンク『経済平和研究所(IEP)』が、昨年テロの犠牲となった死者数は2万5673人で、前年比13%減少、一昨年比では22%の減少となったとする『グローバル・テロ指数(GTI)』なるものを公表した。

テロの犠牲者現象の背景についてIEPは、シリアとイラクでイスラム過激派テロ組織の『IS(イスラミック・ステート)』が敗北を繰り返し、イスラム過激派との戦闘は大きな転換期が到来していると分析している。以下、IEPの2017年GTI報告書の概要を列記する。

【欧州】
昨年826人がテロの犠牲となっている。そのうち658人はトルコで発生した(IEPはトルコを欧州に加えている)が、今年は欧州については犠牲者数が減少すると分析している。理由は、対テロ対策関係者がテロ発生前にテロリストを捕捉するケースが増えているからだ。

【アフリカ、中東、アジア】
5人に4人は同地での犠牲者だ。ただし、犠牲者数は減少傾向にある。例えばナイジェリアでは、テロ組織、ジハード主義組織「ボコ・ハラム」の犠牲となった死者数が前年比で80%と大幅に減少している。パキスタン、シリア、アフガニスタンでも死者数は減少した。例外はイラクで、ISの襲撃で前年度比40%と急増し9765人となった。懸念材料はシリアとイラクの治安問題だ。両国の政治安定にテロがどのような影響を与えるかが決定的な問題となる。

こうした中で、自動車車両によるテロ事件は増加傾向にあり、対策が急務となっている。

ヨーロッパに広がる自動車テロの恐怖

「昨年のフランス革命記念日(7月14日)には、南部ニースの市中心部のプロムナード・デ・ザングレの遊歩道付近で、チュニジア出身の31歳のテロリストがトラックで群衆に向かって暴走し、86人が犠牲となっています。ドイツの首都ベルリン市中央部にある記念教会前のクリスマス市場では、昨年12月19日に、1台の大型トラックが乱入しています。スペインのバルセロナでも今年8月17日、白いワゴン車が市中心部の観光客でにぎわうランブラス通りを暴走し、少なくとも13人が死亡、100人以上が負傷するなど、北米と欧州を中心にした国際機関の経済協力開発機構の加盟国では、約13件の車両を利用したテロ事件が起きているのです」(国際ジャーナリスト)

車両テロは被害が甚大で、未然に防ぐのが難しい。

【画像】

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