毎年、年末になるとスーパーにおせち料理のレトルトパックが大量に並ぶ光景を目にする。料亭やデパートなどは高級なおせち料理の予約販売に必死だ。
なぜ、日本人は正月におせちを食べずにはいられないのだろう。
おせちは、“正月の三が日は水仕事を避ける”という建前から、大みそかまでに作っておく保存料理だ。保存食がおいしいわけがないし、保存技術、輸送システムが発展した今日では、わざわざおせちを食べる意味はないと言っていいだろう。
おいしくないと思いつつも、習慣だから何となく食べ続けている、という人も多いのではないだろうか。
ここで高度成長期の婦人雑誌に紹介されたおせち料理をご覧いただきたい。
これは『婦人生活』1954年1月号より、おせちのお重の写真(画像右半分)。
一の重は、祝かまぼこ、きんとん、富久紗玉子、笠松どり、曙りんご羹。二の重は、マカロニカルソー、サンドイッチ2種ほか。三の重は、八宝菜、鍋炸豆腐ほか。与の重は、笹巻ずし、みかん盛り、酢魚の真砂和え、紅白梅花大根のかおり漬ほか。
どうだろう、この豪華さ。田作りや昆布巻きなどは、ここにはないのだ。専業主婦が主流だった時代だけあって実に手の込んだ料理の数々だ。
『主婦の友』1959年1月号はさらに独創的だ。
ミートローフ。磯辺揚カナッペ、栗と杏の甘煮、ソーセージの薄皮揚、なます代わりの紅白サラダに中華風うま煮…といった具合。
スーパーもレトルト商品もない時代、主婦たちは趣向を凝らしたおせちを形式にとらわれない自由な発想で作っていたのだろう。そろそろ企業が一方的に提案してくるおせちはやめて、自分なりの工夫でおせち料理を楽しんでみてはいかがだろうか。